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株式の本当の評価額は裁判所に聞く?

買い取り希望価格の差は、なんと7000万円

2016年7月22日(金)

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「会社に利益を残さない」などのユニークな経営戦略を大転換し、後輩社員に会社の「地盤」「看板」「かばん」を承継すべく新たな施策を相次いで打っている、広島市のメガネ小売りチェーン「21」。創業者の平本清氏が、裁判所や税務署を舞台に繰り広げた“株価騒動”の舞台は裁判所へ。希望買い取り価格の差が7000万円という、株の売り手と買い手の主張に対して判断が下る。

 前回、お世話になった先輩からの相談をきっかけに、株価騒動を起こしたことを書きました。

 B社が、先輩の持っているB社の株式を安価で買い取りたいと言ってきたのに対して、私は「B社の純資産から考えれば、10倍以上の価値がある」と言って、裁判所で公正に価格を判断してもらおうと提案しました。

 高く売れたなら、先輩は喜ぶ。安くなったなら、それは「21」の今後の事業承継において発生する、自社株の譲渡に役立てることができる。裁判の結果がどうなっても、勉強になると考えたからです。

少数株主を迂回すれば、株を安く譲渡できるのか?

 対象となったB社では以前から、従業員が持っていた株を、社長など経営に携わる人たちや会社が、ものすごく安い株価で買い取っていました。

 普通、同族会社の先代社長が保有している株を、次の社長(例えば息子や娘)に譲渡する場合には、類似業種比準方式や純資産価額方式で株価が評価され、その評価額は高くなります。それだけ価値があるものを譲り受けるので、生前贈与すれば贈与税がかかり、相続すれば相続税がかかります。

 B社の純資産は100億円を超えますから、株を譲り受ければ、数十億円という税金が発生することが容易に想像されます。

 しかし、もし「従業員と同族経営者」(少数株主と支配株主)との間での株の売買をする際、安値でやり取りできるなら、「従業員を迂回すればいい」という方法が成り立ちます(図)。

 これはすごい相続システムです。

 事実上、B社ではこれと同様の(あるいは類似した)やり取りが行われてきたのです。果たして、こんな方法が本当に認められるのでしょうか。

B社が行っていた自社株の譲渡のやり方

 私たちはB社の株を保有している他の先輩方にも声をかけ、一手に株を集めました。正確に言うと、B社グループには「B社」と「Bチェーン」という2つの会社があって、それぞれ株価が違います。これを両方、集めたのです。

 額面は以下の通り。

B社 1株 1万円
Bチェーン 1株 500円

 そもそもB社の株は譲渡制限株式になっています。譲渡制限株式とは、会社側が「この人になら売ってもいいですよ」と認めない限り、売ることができないという制度です。文字通り「譲渡」に「制限」がついているのです。「その会社を経営していくために好ましくない人が株主になることを防ぐ」目的でつくられた制度で、多くの会社が利用しています。

 そこで私たちが最初に打った手は「21」の関連会社である「Fit」という会社から、正式に株の買い取り請求を出すことでした。

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「“株価騒動”を起こして未公開株について学んだ」のバックナンバー

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「株式の本当の評価額は裁判所に聞く?」の著者

平本 清

平本 清(ひらもと・きよし)

株式会社21 相談役

1950年生まれ。県下最大のメガネチェーンで商品部長などを歴任するも解雇され、元同僚4名で独立。「内部留保を持たない」などの経営手法で、100店舗以上に成長させた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授