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中学英語で英会話は十分にできる

文法と英会話の微妙な関係

2016年1月9日(土)

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 前回は、「作る」から、「受け取る」へと文法の発想を変えることで、細かい分析をしなくても英語はしっかりと理解できるというお話しをしました。例としてはgiveのケース(SVOO)を取り上げましたが、これはもちろん、どのような文型にも当てはめることができます。さらに、5文型では説明できない文構造でもやさしく理解できます。

 例えば、私は昨年この文法を使って新中学2年生に、進行形から動名詞、分詞構文、そして独立分詞構文までを25分で教えたことがあります。さすがに緊張しましたが、フタを開けて見ると先生にも生徒にも好評で、今年もアンコールがかかりました。たいへんうれしいことです。機会を改めて詳しくご紹介したいと思います(※)

(※)こんな、ある意味でとんでもない講義にアンコールがかかるのも、「使える英語」へのプレッシャーが年々高まる中で、先生方が新しい方向性を模索されているためかもしれません。今英語教育は過渡期に入っており、たいへんな混乱状態にあります。

 もう1つの例を上げますと、「仮定法」というのも、中学レベルの知識で理解できます。もっとも大切な点を説明しておきますと、「過去形には2つの意味がある」と考えれば良いのです。それだけです。

過去形の意味

  • ①「過去に起こったこと」を言い表す
  • ②「心の中で想像したこと」を言い表す

 例えば、つぎのような会話の場合、couldは②の意味で使われています。

  • A:What do you think about this plan? このプランについてどう思う?
  • B:It could work.(私が勝手に想像しただけのことだけど)ひょっとするとうまくいくかも

 ポイントは、(私が勝手に想像しただけのことだけど)という「前振り」を日本語で入れている点です。これによって、「はっきりは分からないけれど、可能性はゼロではないと思う」という微妙なニュアンスのあることが理解できます。また、この前振りを活用すると、自分自身が会話で使うときにも使いやすくなります。

 ちなみに、この場合のcouldは「未来」のことについて予測しています。なぜこんなハットトリックのようなことができるのでしょうか。――それは、「想像の世界は自由」だからです。

 このように、視点を変えて整理し直すと、中学の知識だけでもあっという間に高校文法を、それも、これまでよりはるかに深く、正確に、実践的に、マスターできます(※)

(※)すべての本を見たわけではありませんので、はっきりとは言えませんが、私の知る限り、「中学英語で・・」とか「中学・高校の文法を1冊で・・」とかいった類の本は、ただ単に「従来の文法をまとめただけ」の場合がほとんどのように思えます。仮定法についても、Ifを使って解説を始めたり、「事実に反する」という点を強調したりするものが多いですが、このような切り口では「正しい文法」は身に付きません。また、微妙なニュアンスや広がりが理解できなくなります。

「会話力」の伸ばし方

 さて、ここで文法と英会話の関係について少し考えて見たいと思います。いったい会話力を身につけるには文法知識が必要なのでしょうか。日本人は文法で痛い目にあっている人がとても多いので、ここは気になるところです。しかし、いったんは安心して下さい。これまで見てきたように、文法の発想自体を変えると、中学レベルの知識で高校内容までを無理なく理解できます。つまり、文法という点だけからみると、わずかな知識で会話はできるようになるということです。

 でも、それだけで十分かというと答えは「ノー」です。会話力を身に付けるには、ほかにもいくつかの点に気をつける必要があります。

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「日本語を活用した英会話習得法」のバックナンバー

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「中学英語で英会話は十分にできる」の著者

池田 和弘

池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合。日本有数の英語学習法のスペシャリスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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