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最強かつ最悪の素材「映画」をどう活用するか?

2017年1月21日(土)

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 英会話といえば、真っ先に海外留学を考える人も多いと思いますが、留学を成功させることはそう簡単ではありません。この日経ビジネスオンラインにもその点を指摘した記事がありますし、ネット上にも多くの書き込みがあります。

 そういう意味では、国内にいて、初めから英語を「外国語」として意識し、少々“教科書的な英語”を使ってでも、「しっかりとコミュニケーションができる」という点を目指す方が良い結果を生むということも十分に有り得ます。

 実際のところ、私はどちらかというとそのアプローチで英語を勉強しました。つまり、市販のテキスト類を使って少々理屈っぽく英語を学んだのです。でも、この、いわば平凡な学習方法のおかげで、学習を始めて早い段階で、ネイティブに、例えばSSC(※)について教えたり、PR(Public Relations)の意味について議論したり、日本語の発想と英語の発想の違いについて説明したりすることができるようになりました。また、海外でも、空港やホテル、果てはドラッグストアなどで、必要なコミュニケーションができるようになりました。

(※)Superconducting Super Collider=1980年代にアメリカで計画されていた巨大な粒子加速装置。

 ところが一方で、とてもやっかいな問題に直面しました。それは、日常の、何でもないカジュアルな会話が出来ない、相手の言っていることは分かるのに、タイミング良く返事を返せない、という事でした。

 ネイティブに英語で教えることさえあるのに、ごく簡単な会話がスムーズにできない――これは、私にとって、とてつもない衝撃でした(※)

(※)この体験が、後にベストセラーとなる英会話教材を生み出すのですが、その当時は、なぜそんなにも大きなギャップがあるのか、まったく分かりませんでした。

 ところが、よく振り返ると、皮肉なことに、私の周囲には国内で学んで英語を流暢に話すことのできる人が何人かいたのです。その人たちとも、議論だと決して引けはとらず、むしろ教えることの方が多かったのですが、日常のちょっとした軽い会話になるとなぜか押される。その中には、ネイティブから、「同郷だな。お前はどこの町の出身なんだ」などと聞かれる人がいる始末。

 では、彼らはいったいどのようにして英語を身に付けたのでしょうか――その答えが前回にご紹介した「映画・ドラマ」だったのです(※)

(※)面白いことに、彼らは逆に、どうして映画やドラマを利用せずに私が国内で英語を習得したのか首を捻っています。

 今から思うに、映画やドラマが最強の学習素材であることは確かです。なぜなら、緻密に考えられたストーリー展開によって、ある意味で「リアル以上にリアルな世界」 へと入っていくことができるからです。そのとき、もちろん、頭は最高の集中状態にあります。つまり、映画やドラマは、それ以上は望めないほどパーフェクトな学習環境を、30分あるいは2時間といったコンパクトな時間に詰め込んで与えてくれるわけです。

 無理やり問題を解かされるわけでもない、ペアを組まされて特に話したくもない事を話す必要もない、ストップウォッチで時間を測られることもない――そこにあるのは、「あなただけの理想的な英語学習の空間」なのです。

 ところが、会話力がほぼゼロの初心者(私たちのほとんど)にとって、映画やドラマはハードルが異常に高い。

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「日本語を活用した英会話習得法」のバックナンバー

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「最強かつ最悪の素材「映画」をどう活用するか?」の著者

池田 和弘

池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合。日本有数の英語学習法のスペシャリスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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