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「英語脳」と「スピーキング」の関係

深い情報のネットワークが「会話」を可能にする

2017年2月18日(土)

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 英語の学習法に関する本やサイトを見ていると、「英語脳」という言葉をよく耳にします。「英語脳」と聞くと、まるでほかにも脳があるようにも聞こえますが、もちろん、これは私たちの脳の中に、英語だけを処理する部分があるかどうかということです。

 ごく普通に考えて、日本語を扱う場所と、英語を扱う場所が全く同じはずはありませんので、英語を扱うところを「英語脳」と考えても構わないでしょう。問題は、「日本語脳」と「英語脳」の関係です。ここはとても大切な点で、よく理解しておかないといくら勉強しても効果が出ないという事に成りかねません。

 まず、こう考えて見て下さい。私たちが、例えば経済の話題について誰かと熱心に話していたとします。そのとき、何の前触れもなく、相手が全く関係の無い話、例えば医療関係の話題について尋ねてきたら、どうなるでしょうか。一瞬、言葉に詰まり、「それって何の話?」と聞き返すことになりますね。

 なぜそうなるのでしょうか。それは、頭の中で、言わば「経済脳」が働いているときに、急に「医療脳」を使うことを要求されるためです。そのために、スイッチの切り替えに時間がかかるのです。

 しかし、話題が変わると言っても、日本語で話している限りは、少し経てば別の話題に「脳」を切り替えることができます。ところが、これを「言語」のレベルで考えるとどうなるでしょうか。つまり、「日本語脳」から「英語脳」へ切り替えるときにはどうなるのでしょうか。

 これは容易に想像がつきますね。大変なことになるに決まっています。なぜなら、私たちは普段、あらゆる事柄について日本語で考えているからです。ですから、そこからのスイッチングの難しさというのは、単に「話題」を変えるだけの場合とは比較になりません。

 私なども、このスイッチングには結構苦労します。海外に1週間ほどいると、ごく自然に「英語脳」が起動し始め、ベストコンディションになるのですが、国内にいるときには、ウォーミングアップをしてアイドリング状態にしておかないとうまく口が回らないことがあります(※)

(※)日本語でも調子の良い時と悪い時があるものですが、英語ではそれが何倍にも増幅されます。この点に関しては、やはり長期間の海外在住経験がある人は圧倒的に有利です。

 さて、ここからが肝心なのですが、いくら「英語脳」といっても、今まさにスピーキング力を伸ばしたいと考えている、平均的な人のケースを考えた場合、そもそも英語の情報自体がほとんど頭の中にありません。

 「いや、無いということはないはずだ。私はTOEICで800点を取っている」――そのように思う人もいるかも知れません。

 確かに、リーディングやリスニング、ライティングについては「蓄積」がかなり効きます。つまり、訓練をして、ある程度のレベルに達していれば、たとえ普段の生活の中で英語を使っていなくても、スイッチングがかなり容易にできます。リーディングやリスニングは「受け取る力」ですし、ライティングは考える時間、練り直す時間があるからです。

 ところがスピーキングの場合は、そうはいきません。リアルタイムの応答が求められるからです。このような瞬時の反応ができるためには、言いたいと思ったときに、それがほぼ無意識に英語として口にできないといけません。つまり、「深い蓄積」が必要なのです。これが一般に「英語脳」と言われているものです。

 スピーキングには「深い蓄積」が不可欠です。この点をよく理解していないと、長い勉強の果てに大きく落胆することになります。テストで高得点を取れてもほとんど話せないということがごく普通に起こるからです。

 もちろん逆のケースもあって、うまく「深い蓄積」を行っている人は、たとえテストで高得点を取れなくてもかなりのレベルまで英語が話せるようになります。例を挙げますと、ある機械の輸出会社が社員の英会話力の向上に力を注いでいたのですが、何カ月かたってその成果が出始め、喜んだ社長がTOEICを受けさせたところ、ほとんどが400点台で、がっかりとしたという話があります。

コメント2件コメント/レビュー

私は日本語が母国語です。英語会話がそれなりにできるようになった時、頭の中は英語モードに切り替える、切り替わるという感覚でいます。悩み事があり日本語でうだうだ考えていると、英語に上手く切り替えられないときがあります。その後、更に韓国語を学び少し話せるようになった時、英語モードと韓国語モードが混線しました。頭の中は、日本語モードと外国語モードに分かれているようです。外国語モードの中が英語と韓国語で、悪いことに、韓国語文法は日本語と類似していて語順が英語と異なります。そこで、当初よく混乱したのは、英語が日本語の語順で出てきてしまうとか、韓国語が英語の語順になってしまうとか、英語に韓国語単語が出てきてしまうとか、度々混乱しました。が、これが結構面白い経験でした。頭の中はそうなっているのか、と発見したような。英語も韓国語も十分に習得できていないから、なんでしょうけれどね。(2017/02/20 14:23)

「日本語を活用した英会話習得法」のバックナンバー

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「「英語脳」と「スピーキング」の関係」の著者

池田 和弘

池田 和弘(いけだ・かずひろ)

大阪観光大学国際交流学部教授

「学習者に優しい」をコンセプトに、認知言語学、レキシカル・グラマー、エマージェント・グラマー、並列分散処理など最新の知見を駆使して、受験英語と実用英語を融合。日本有数の英語学習法のスペシャリスト。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私は日本語が母国語です。英語会話がそれなりにできるようになった時、頭の中は英語モードに切り替える、切り替わるという感覚でいます。悩み事があり日本語でうだうだ考えていると、英語に上手く切り替えられないときがあります。その後、更に韓国語を学び少し話せるようになった時、英語モードと韓国語モードが混線しました。頭の中は、日本語モードと外国語モードに分かれているようです。外国語モードの中が英語と韓国語で、悪いことに、韓国語文法は日本語と類似していて語順が英語と異なります。そこで、当初よく混乱したのは、英語が日本語の語順で出てきてしまうとか、韓国語が英語の語順になってしまうとか、英語に韓国語単語が出てきてしまうとか、度々混乱しました。が、これが結構面白い経験でした。頭の中はそうなっているのか、と発見したような。英語も韓国語も十分に習得できていないから、なんでしょうけれどね。(2017/02/20 14:23)

英語脳とスピーキングの関係はそれほど関係は無いと思います。もちろん英語脳はヒアリング・スピーキングには重要な要素であることは間違いありません。筆者が書かれている通りスピーキングは咄嗟に発せられなくてはならないので、脳内で咄嗟に整理される必要があります。私の経験ではラインティング能力の向上がスピーキング能力の向上に大きく貢献すると感じています。話している瞬間は自分の言葉が話したい内容が一致しているかの判断は難しく、言葉を発した後に「あっ間違えた」ということは有ります。日頃文章を口語で書く訓練をしていれば、その文法・内容が自分の意図した通りであるかは確認することができます。こういった訓練の積み重ねをすることでいざ会話をする時に、自然と言葉が出るようになります。日頃から英語を使うことが最も重要で、英語脳とは英語を慣れ親しむことだと考えます。「習うより慣れろ」という言葉もありますが、両方ともに大事であることは言うまでもありません。(2017/02/18 11:49)

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