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「かばん持ち」は、才能開花の最高の技法

2016年2月3日(水)

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見えていない「自分の仕事人格」

先生は、昨年上梓された新著、『人は、誰もが「多重人格」 - 誰も語らなかった「才能開花の技法」』において、人は、誰もが心の中に「複数の人格」を持った「多重人格」であり、日常においては、無意識に、仕事や生活の状況や場面に合わせて「様々な人格」を使い分け、それによって、他人と円滑にコミュニケーションを取り、仕事で高いパフォーマンスを発揮していると述べられていますね。

 そして、この本において、我々の中の「隠れた人格」には、「表層人格」「深層人格」「抑圧人格」の「3つのレベル」があり、「隠れた人格」がどのレベルかによって、それを開花させ、活用する技法が異なってくると述べられています。

 では、「隠れた人格」が第1の「表層人格」の場合には、それを開花させ、活用するために、どのような技法を実践すればよいのでしょうか?

田坂「表層人格」の場合には、まず、次の「4つの技法」を実践してみてください。

 まず、第1は、

 自分が、いまの仕事に「どのような人格」で取り組んでいるかを、
 自己観察する

 という技法です。

「どのような人格で取り組んでいるか」ですか? なぜ、それを考える必要があるのでしょうか?

田坂我々は、意外に、自分が、どのような「人格」で仕事に取り組んでいるかを知らないからです。

 例えば、ある営業担当者に「あなたは、どのような人格で営業の仕事をしていますか」と聞いたとします。

 こうした場合、しばしば返ってくるのが、「お客様の前では、できるだけ明るい性格で振る舞うようにしています」といった答えです。

 この人は、「営業担当者は、お客様に明るく応対」といったステレオタイプの営業担当者像を固定観念にしてしまっているのです。

 しかし、もし、この営業担当者が「仕事のできる営業担当者」であるならば、間違いなく、「明るい性格」だけでなく、「細やかな性格」でも仕事をしています。

 その性格によって、お客様の何気ない表情を読む、言葉の奥の心の動きを感じ取るなどの「細やかさ」という才能を発揮しています。

 すなわち、営業プロフェッショナルとして一流の世界を目指すならば、「明るい性格」よりも、むしろ、この「細やかな性格」をさらに磨いていくことが王道なのですが、自分の中にある「細やかな性格」に気がつかないかぎり、この性格や人格を意識的に育てていくことはできないのです。

自分でも気がついていない「人格と才能」は、育てようがないということですね。

田坂:そうです。従って、この営業担当者の上司が「優れた上司」であるならば、「誉め言葉」を通じて、この「気がついていない人格」に気がつかせてくれるでしょう。

 例えば、「君の、あの細やかな気配りは、さすがだな……」「お客様は、言葉にしなくとも、君が気持ちを汲んでくれるので、喜ばれていたな……」といった誉め言葉です。

なるほど……「誉め言葉」ですか。

田坂:そうです。そもそも、部下に対する「誉め言葉」は、単に「部下のモチベーション」を上げるためにあるのではなく、本来、「部下の成長」を支えるためにあるのですね。

 残念ながら、最近のマネジメント論は、「いかに部下のモチベーションを上げるか」といった操作主義的な傾向が強いので、部下の成長を支えられる上司が育たないのですが……。

つまり、部下自身も気がついていない性格や人格に気づかせてあげることも、上司の大切な役割なのですね。マネジメントの世界は、奥が深いですね……。

田坂:そうですね。このことを逆に見れば、職場において「自分で気がついていない人格」に気がつくためには、優れた上司や先輩に聞くという方法があるのです。

なるほど、その方法も含め、「自分が、いまの仕事に『どのような人格』で取り組んでいるかを、自己観察する」ことが第1の技法ですね。では、第2の技法は?

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「「かばん持ち」は、才能開花の最高の技法」の著者

田坂 広志

田坂 広志(たさか・ひろし)

多摩大学大学院教授

1974年東京大学卒業、81年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。米シンクタンク客員研究員などを経て、2000年多摩大学大学院教授に就任。2011年3~9月、東日本大震災に伴い内閣官房参与に就任

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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