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空腹時血糖が正常値なら、糖尿病の心配はない?

  • 田村知子=フリーランスエディター

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2016年6月24日(金)

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Q  空腹時血糖が正常値なら、糖尿病は心配しなくていい?

A  いいえ。糖尿病の初期には、空腹時血糖値には異常が見られないことがある。こうした場合は、ヘモグロビン(Hb)A1cの数値によって糖尿病と疑われる場合もある。

空腹時血糖が126mg/dLを超えてなければ安心?(©Dmitry Lobanov-123RF)

 職場健診では、糖尿病を早期発見する目的で「糖代謝」の検査が行われている。糖代謝の状態を調べるには、血液検査で「血糖値」と「ヘモグロビンA1c」の数値を見るのが基本だ。

 血糖値とは、脳や筋肉などのエネルギー源として使われる血液中のブドウ糖(=血糖)の濃度のこと。静脈血漿(けっしょう)1デシリットル(dL)に含まれるブドウ糖の重量(mg)で示される。

 血液中のブドウ糖の量は食事によって変動するが、膵臓(すいぞう)から分泌される「インスリン」というホルモンの働きによって、一定範囲内に保たれるようになっている。ところが、このインスリンの分泌量が少なかったり、分泌はされていても作用が不十分だったりすると、血液中のブドウ糖の量が多くなる。こうした高血糖の状態が慢性的に続く病気が「糖尿病」だ。

「糖尿病初期では、空腹時血糖は正常だが食後に高血糖を示す人も多い」

 糖尿病を専門とする真山クリニック院長の真山享氏に、健康な人と糖尿病の人の血糖値の変動の違いを解説してもらった。

 「食事前の血糖値は通常、110mg/dL未満に保たれています。食事をすると、30分程度で血糖値が上がり始め、90分程度でピークに達し、4時間程度経つと食事前の数値に戻ります。健康な人では、食後の血糖値のピークは最高140mg/dLほどで、食事前の血糖値から30%を超えて上がることはほとんどありません。一方、糖尿病の人は、病気の状態によって異なるため一概には言えませんが、食事前の血糖値は126mg/dL以上あり、食後のピークには200mg/dL以上になります。そして、その後もなかなか下がらず、高血糖の状態が続きます」

 このように、血糖値は食事と関連して変動するため、職場健診では一般的に、最も安定しているといわれる「空腹時血糖」を調べる。職場健診の日に朝食や昼食を抜くよう指示されるのはこのためだ。ちなみに、食事の時間と関係なく血液検査をする場合の値は「随時血糖」と呼ばれる。

 ただし、「糖尿病の初期では、空腹時血糖には異常がなく、食後に高血糖を示す人も多い」と、真山氏は話す。「糖尿病の初期にはまだ、インスリンがある程度は分泌・作用しているため、空腹の状態が長く続いていると、血糖値は正常値程度まで下がります。しかし、インスリンの働きが低下しているので、食後は高血糖となり、下がるのにも時間がかかるのです」。

 つまり、空腹時血糖を調べるだけでは、糖尿病を見つけにくいケースもあるということだ。そこで、糖尿病の診断には、血糖値だけでなく、ヘモグロビンA1cも用いられている。

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