「仕事が苦しいのは、自分が無能だから」と思うな

東京大学東洋文化研究所 安冨歩教授に聞く「ストレスの正体」【1】

  • 森脇早絵=フリーライター

 働く男性が心の病に苦しむケースが増えているようだ。
 「男がなぜ苦しいのかって、それはひとえに、目に見えない暴力を受け続けているから。そこから逃げられないのは、こんなこともできない自分が悪いんだという『罪悪感』があるからです」。“女性装の大学教授”として知られる東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授は、男性の心の苦しみについてこう語る。
 「東大教授」「経済学者」という超エリートでありながら、自由に自分を表現する安冨氏だが、氏自身も、かつては男性特有の息苦しさを感じ続けていた。なぜ、現代の男性は生き辛さを感じ、苦しんでしまうのか。その根本的な原因を伺った。

息苦しさ、生き辛さの正体は「目に見えない暴力」と「罪悪感」

躁うつ病を含む気分障害の患者数の男女比は、女性のほうが1.7倍ほど多い(「厚生労働省 患者調査2014」より)のですが、自殺死亡率では男性が女性の約2倍(警察庁「自殺の概要」より)と圧倒的に上回っています。男性たちが生き辛さ、息苦しさを感じる原因は何でしょうか?

“女性装の大学教授”として知られる東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授
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 人はどんな時に息苦しさを感じるかというと、目に見えない抑圧や暴力を受けている時です。

 今、日本のサラリーマンにどのようなことが起きているかというと、例えばこんなことです。給料はちゃんと支払われているものの、意味のない仕事をやらされている。無意味な仕事を断りたいけど、そんなことは不可能だと思っている。転職の自由はあるはずなのに、会社を辞められない。目標を達成しても、一時的にはほっとするけれど、喜びを感じられない。むしろ、「次も失敗するわけにはいかない」という焦燥感の方が強くなってしまう…。

 こんなふうに、見えない何かに取り囲まれている感じなんですよね。むしろ、それらを守ることに必死になっている。これは、社会からのモラル・ハラスメントともいえます。見えない精神的暴力を受けているのと同じ。

 これはね、目に見える暴力よりも苦しいんです。目に見える暴力ならば、そこから逃げ出すとか、戦うとか、あるいは諦めて死んでしまうとか、何らかの結末がありますよね。

 でも、目に見えない暴力に取り囲まれていると、苦しみが終わらないんです。暴力や抑圧を受けていることを自覚できないので、そこから逃げ出すこともしないし、戦うこともしないし、死ぬこともない。

 だから、原因の分からない息苦しさ、生きづらさを感じてしまうんです。

 その根幹にあるものは、「罪悪感」。みんな、「こんなこともできない自分が悪いんだ」と思ってしまうんですね。

 よくサラリーマンたちの話を聞くと「私は恵まれている」「人よりはまだマシだ」「仕事なんてそんなもんだ」という言葉が出てくるんですけど、これこそが苦悩の本質。自発的にそう思っているから、どんなに息苦しく感じても、飲み込んでしまうんです。

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いただいたコメントコメント8件

全く慧眼だとは思いますが、現実に機能しているシステムの醜悪さをいくら指摘したところで、代案の糸口さえ見えないのならば現に苦しんで人々に対してなんの救いにもならない。
このままでは寧ろ、「世の中には知らない方がいいこともある」と云った類のモノの見方を広めているだけではないかとも思う。
是非その優秀な頭でもっと悩んでもっと苦しんで欲しい。
そして素晴らしい思想を生み出して欲しいのだ。(2017/07/20 12:39)

罪悪感ですか、面白いですね。

このコラム読んでて、「巨人の星」と山中鹿之助を思い出しました。
艱難辛苦を乗り越えて生きる。七転び八起き、苦労は買ってでもしろと。
日本人は、そういうの好きですからね。

まあ、ちょっと違うかもしれませんが。(2017/07/19 13:47)

仕事が苦しいのは、無能だからですよ。
入社したては3~6か月は、やり方もわからない、目標に追われるから苦しい。

その中から会社のやり方を覚えて、数字を意識する人は。
伸びてくる人は2か月目ぐらいから、苦しみから脱出する。
普通の人は4か月目ぐらいから芽がでてくる。

1か月目から、数字もやり方も無視して自分にうぬぼれている人間は、数字も上がらないし教えてくれていた人もあきらめて、お客様もそれを見抜いて助けてくれなくなる。


無能だから、仕事が苦しくなっていく。
逆に言えば、言われたやり方言われた数字を必死にこなせば、誰か手を差し伸べてくれるもんです。(2017/07/16 12:19)

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