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インドで考えた組織的コミュニケーション

ビジョンを語るのはトップだけの仕事ではない

2015年7月15日(水)

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今回取り上げるのは――
Zhao, Z. J., & Anand, J. 2013. Beyond boundary spanners:The ‘collective bridge' as an efficient interunit structure for transferring collective knowledge. Strategic Management Journal, 34:1513-1530.

(最終回-1)にあたって

 長くお読みいただいた連載も、次回でいったん区切りとしたいと思います。そろそろ充電する時期だなと感じたこともありますが、もう1つは、書かなくてはいけないと思いながら、ずっと先に延ばしてきた新刊に背水の陣(?)で取り組む必要があるためです。2012年の9月に始まった連載を少し振り返ってみると、足掛け4年、今回が44回目、取り上げた書籍や論文は30あまりに上ります。

 実は、今回を最終回にしようと当初考えていたのですが、6月末にバンガロールでのAssociation of International Business(通称AIB)の年次学会に出席して(初めてのインドでした)もう1つ追加して書こうと気が変わりました。ちなみに、このAIBという組織は、広く経営学全般をカバーするAcademy of Management(通称AOM)には規模では及びませんが、国際経営を専門とする研究者が集まる組織では量・質ともに世界NO.1です。米国で戦略・M&Aを専門にしてきた私はまだこの分野では日が浅いのですが、慶應ビジネススクールの同僚の浅川和宏先生が日本人として4人目のフェローに選ばれています(注1)。

(注1)フェローってなんだっていう話ですが、基本的には国際経営分野での多大な貢献を評価されて選ばれる名誉のサークル(世界中で現在約90人)で、プロ野球に例えると「名球会」みたいなものとお考えください。

 今回、インドでの学会ということで圧倒的にインド人の先生が目立ちました。インドの大学はもちろんですが、世界中の大学で活躍する高名な先生も随分来ていらっしゃいました。ソフトバンクに迎えられたニケシュ・アローラ氏もそうですが、インドという国の人材輩出力には改めて驚かされます。また、インドのハイテク企業(インド企業や多国籍企業のインド法人)のトップが参加したセッションも随分あり、今回ご紹介するペーパーはその中の1つのセッションがきっかけです。

 セッションのタイトルはバーチャルオーガニゼーション(Virtual Organizations)。サブタイトルはManaging Learning and Sharing Knowledge across Borders,つまりグローバル化が当たり前になってきた現在、企業は国境を越えてどのように知識、ノウハウを共有化すればよいのかという洋の東西を問わず基本的でかつ切実なテーマです。

 このセッションにはオハイオ州立大学のアナン教授(インド人で、今回の論文の共著者)のほか、インテル、インド第2のIT企業と言われるウィプロ(Wipro)からの出席者も、自社の取り組みについて発表がありました。

ITと組織的コミュニケーション

 組織が大きくなり、国際化すればするほどバーチャルオーガニゼーション化、つまりITでつながることが増えてきます。今回のセッションに参加したインテルにしても、ウィプロにしても、当然ITの活用には積極的に取り組んでいるのですが、その発表の肝は「ITの活用をどうするか」では実はなく、「ITの限界をどう補うか」でした。インテルのマネジャーの方のプレゼンテーションで面白いと思ったのは次の3点です。

● 共通言語(私の言葉で言えば価値観の共有化)がないとITは機能しない
● コストはかかっても、フェースツーフェースで会うことは非常に重要だ
● ITの「ボディランゲージ」に気をつけろ

 特に3番目のところは、発表終了後にもう少し聞きに行ったのですが、そこで説明してくださったのは次のようなことでした。

● コミュニケーションというのは、言った、言わないのデジタルなものでは必ずしもない
● 「こんなこと言ってるけど大丈夫だろうか?」といったはっきり言葉にできないレベルの懸念とかイシューとかをすくい取るようにしないと、後で大変なことになる
● そのために、自分はフォーマルなITでの情報交換以外に、インフォーマルなネットワークを社内に張り巡らして、たいしたことがないようなことも耳に入れるようにしている――それがボディランゲージに気をつけるということだ

知識の共有化の「方法」の重要性:中身がすごくても共有できなければ持ち腐れ

 論文の簡単な解説をしておきます。戦略上特に重要なのは、他社にまねのできない知識、ノウハウを持つことだと言われます。往々にして、そうした知識・ノウハウは明文化できる単純知識(individual knowledge)ではなく、組織の中にある様々な単純知識をどのようにコーディネートし、共有し、組み合わせ、再配分したらよいかという総合的知識(collective knowledge)です。例えば、最終アウトプットの製品は、競合企業のものを買ってくれば分かります。どんな原材料を使っているかも分かるでしょう。しかし、どのように作れば品質もコストも満足できるレベルになるのかはなかなか分かりません。

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「インドで考えた組織的コミュニケーション」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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