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「叱りたいが叱りづらい」4大ケースと対応策

パワハラ厳禁時代の「叱り方」講座(3)

2016年4月8日(金)

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 「パワハラ厳禁時代の『正しい叱り方』」をテーマにこれまで、第1回「失敗の3大パターンと失敗を避けるための対策」、第2回「部下から尊敬される上司になるための正しい叱り方5ステップ」をご紹介してきました。第3回では、上司の方々からよく相談される「叱りたいけど叱りづらい」4大ケースと対応ノウハウをご紹介したいと思います。

年上の部下…顔を立て、経験を尊重したうえで

 年功序列が崩れ、転職と中途採用が当たり前になった結果、中堅大手企業でも年上の部下を持つ上司の方が続々と増えています。

 ある研修で相談されたAさん(39歳)の場合

 「じつは新入社員の頃にお世話になった上司のBさんが、今、私の部下になっているんです。新人の頃に育ててもらった恩義もありますし、年齢も向こうが上、在籍期間も長い。もともと力がある方なんですが、勤務態度で損しているのも明らかで…。相手のためにも言動を直してほしいのですが、叱れないです。年下で若いメンバーには言いやすいので、ついそちらばかり叱ってしまうんですよ」

 Aさんの「叱りたくても叱れない」気持ちにはとても共感してしまいます。年上で、入社年次も上、さらに昔の上司となると、叱りづらいですよね。

 Aさんの素晴らしい点は、第1に「相手のために言動を直してほしい」という想いがある。そして、年下の若いメンバーには叱れている、という2点です。「間違った言動を相手自身に『間違っていた』と気づいてもらい、自主的に改善してもらうように仕向けること」という叱る目的をしっかりと押さえ、若手には正しい叱り方を実践できていました。

 しかし、ここでAさんが考えた方がよい点は、「Bさんを叱れていないことが、他のメンバーにどんな影響を与えているか」についてです。

 「年上の部下を叱れない上司」の下でよく起きているのは、叱れないことが、「なぜあの人だけ言われないのか」「言いやすい私たちだけ叱って自分が叱りづらい人には言わないのか」などと、他メンバーの不満につながってしまうことです。

 若手メンバーからの信頼を失ってしまえば、正しく叱った時の効果も半減してしまいます。年上ということで遠慮して叱れないことは、相手のためにならないのはもちろん、他のメンバーから自分への信頼関係を大きく損ねて、マネジメントに大きな悪影響を与えます。それを自覚して勇気をもって叱るようにしましょう。

 年上の部下を叱る時に大事なポイントは、「相手の顔を立てる」「経験を尊重する」ことです。

 一番やってはいけないのが、相手のプライドを潰すこと。例えば、全員の前で、「経験が長い癖に、何でこんなこともできていないんですか。しっかりして下さい!」などと恥をかかせるようなことです。これは相手の人格否定であり、相手から根に持たれやすい叱り方です。当然、叱る効果も半減します。

 相手の顔を立て、経験を尊重するというのは、Aさんのケースでいえば…

 「Bさんにこんなことはすごく言いづらいのですが。Bさんの○○という言動は、▲▲という理由でぜひ変えてほしいと思っています。経験のあるBさんのことですから、何かご事情があると思うのですが」

 「そんなご事情だったんですね。教えていただいてありがとうございます。ただ、○○という言動を直してほしいというのは▲▲という理由なのでやっぱり譲れません。どうしたらいいでしょう…? Bさんならきっと何かアイデアを思いつくと思うのですが」

 「いいアイデアですね。ぜひそれをやっていきましょう。やっぱりBさんはうちの部で目立つ存在ですし、私が育てていただいたように他のメンバーにぜひ良い影響を与えてください。引き続きよろしくお願いいたします」

 …といった流れです。

 相手が年上でも「正しい叱り方の5ステップ」を崩す必要はありません。ただ、ステップの中で相手と対話をしていく要素は増やすとよいでしょう。つまり、相手の自覚を促して、相手自身に解決策を考えてもらう、質問をうまく使うことをより意識すると効果的です。

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「「叱りたいが叱りづらい」4大ケースと対応策」の著者

東宮 美樹

東宮 美樹(とうみや・みき)

ジェイック教育事業部事業部長

1997年に筑波大学を卒業後、メーカー、人材派遣・紹介会社を経て、2006年ジェイックに入社。研修講師として活躍後、企業の教育研修を担当。認定産業カウンセラー、生涯学習開発財団認定コーチ資格保有。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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