達人に学ぶ課題解決

データを情報にし、価値を生み効用を上げる、活用の第一歩に「DIVA」フレームワーク

2016.02.10鈴木 良介=野村総合研究所

「データを活用して我が社も儲けられないのか?」と上司から言われたとき、どこから考え始めればよいのだろうか。データ活用で売り上げ・利益を得るためのフレームワーク「DIVA(ディーバ)」を2回にわたり紹介する。

 ゴミ箱で生成されるデータが収集され、このゴミ箱をちょっと変わった「プロダクト」から「サービス」に変える。このデータ活用をDIVAで整理すると、以下のようになる。

(1) リアルタイムに生成されるゴミ箱の満空データが、無線通信を介してそれぞれのゴミ箱からセンターへと集約される。
(2) 複数のゴミ箱から収集された満空データに基づいて、最適なゴミ回収ルートとタイミングに関する情報が得られる。
(3) 情報は回収員に伝えられ、最適なルートでゴミ回収が行われる。これにより、適当な量がたまったゴミ箱だけが回収対象となる。
(4) 結果として、美観が維持されたまま回収頻度が減る。ビッグベリーを導入したある施設では、回収頻度が週に8回から1.4回に削減し、副作用なくコストを80%減らした。これは経済的効用である。

 このように、データ活用を中核としたビジネスが成立しているとDIVA一連の流れが満たされていることが分かる。検討段階においても、この一連の流れが成立しているか確認することは有用だろう。

 「振る舞いの変化」として何を実現するかによって、自社に必要となる要素は大きく変わる。これもまたDIVAに記載すれば整理しやすい。

 例えば、損害保険において、「保険金支払い審査がより正確で迅速になるように振る舞いを変化させる」が目指すゴールなら、振る舞いを変える対象は自社従業員だ。必要な要素は「保険金申請書を自動的に解釈する自然言語解析技術」という「分析」となるだろう。しかし、目指すゴールを「そもそも、事故が起きないように予防的な評価と、事故が起きないようにするための助言と介入」という全く新しい振る舞いの変化にするなら、データの「収集」も「働きかけ」も一から検討する必要がある。

 データ活用の議論においては、現行業務の改善なのか、あるいは業界の役回りを根底から変えるような変化まで検討するべきなのか、前提を明らかにしなければならない。

人工知能とDIVAの関係

 データ活用に関する検討を進める最中にも、あなたの上司や、メディア、行政機関、業界団体、コンサルタント、ITベンダー、広告代理店などが、寄せては返す波のように、様々なテクノロジー活用に関するバズワードを紹介しているだろう。IoT、人工知能、機械学習、ロボティクス、FinTech、マーケティングテクノロジー、インダストリー4.0、スマートファクトリーなどだ。

 昨日まで「我が社のビッグデータ活用」を迫っていた上司が、「ところで人工知能についてはどう思う?」と言ってきたときの当惑はよく分かる。しかし、なすべきことは何も変わっていない。なすべきは、データから振る舞いの変化に至る一連の流れを考えることだ。多くのバズワードがこの一連の検討の部材にすぎない。「ご指摘の事項も踏まえて検討を進めます」と言いやすくするべく、各種バズワードとDIVAの対応関係を付録して、本稿のしめくくりとしたい(下図)。

データ活用の観点から見た近年のキーワードの整理

鈴木 良介 | Ryosuke SUZUKI
野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主任コンサルタント。情報・通信業界にかかわる市場調査、コンサルティングなどに従事。現在はデータ活用による事業の高度化、社会課題の解決を検討する。近著に『データ活用仮説量産フレームワークDIVA』

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