ソリューション速報

深層学習人材を2020年までに3万人育成、日本ディープラーニング協会が認定資格を発表

2017.10.05多田 和市

10月4日、一般社団法人日本ディープラーニング協会が設立発表シンポジウムを開催した。人工知能(AI)の中でもディープラーニング(深層学習)を事業の核とする企業および有識者が中心になり、産業活用促進、人材育成、公的機関や産業への提言、国際連携、社会との対話などに取り組む。資格検定などを通して、2020年までに3万人のエンジニア人材の確保を目指す。

 シンポジウムの冒頭、日本ディープラーニング協会理事長の松尾豊・東京大学大学院特任准教授は「日本の産業競争力に直結するAI人材をいかに早く育成するかが重要だ」と明快に語った。

 そのうえで松尾氏は、「何でもかんでもAIとうたっており、AIとITを混同している現状は問題がある」と指摘。「AIの中でもディープラーニングは、連続的な変化ではなく、破壊的なイノベーションである。機械は初めて『眼』を持った。眼を持った機械ができることは、爆発的だ。あらゆる産業で人間がやっている作業を深層学習によって自働化できる」と言い切った。

 協会設立の背景に、深層学習の活用をより積極的に進めていくべきという松尾氏の強い思いがあったと言われている。深層学習を明確に定義して、ユーザー企業の深層学習に対する知識レベルを上げるのが大きな狙いだ。

 同協会事務局によると「現状で数百人しかいない深層学習のエンジニア人材を2020年までに3万人規模に持っていく」との目標を掲げており、真っ先に取り組むのが活用人材の早期育成だ。

 協会は、深層学習活用に必要な人材を定義し、「E(エンジニア)資格」と一般向けの「G(ジェネラリスト)検定」の2つを認定する機関の役割を担う。

資格取得でAIスタートアップの1次面接が免除

 E資格は、深層学習の理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力を持つ人材である。「E資格を持っていれば、ABEJAなどのAIスタートアップ企業の採用1次面接が免除される」(同協会事務局)という。

 E資格の受験資格は、同協会が認定するプログラムを修了していること。具体的には、同協会が大学で実施している深層学習講座や民間企業の研修プログラムなどを審査して認定する。協会が認定した講座やプログラムを修了した人は、受験料3万2400円(税込み)を支払ってE資格の試験を受ける。

 初回の試験は来年4月ごろを予定しており、2020年までにE資格者が3万人になると見込んでいる。

 試験問題は、3カ月程度の実技を含む協会が認定したプログラムを修了するレベルで、フレームワークやライブラリーには依存しない。E資格試験のシラバス(試験項目)は、「応用数学」「機械学習の基礎」「ニューラルネットワーク」「ディープニューラルネットワーク」「畳み込みニューラルネットワーク」「リカレントニューラルネットワーク」「強化学習」などで構成する。

 E資格試験は、会場試験になり、知識問題と実技試験の両方を受けて、一定の成績を取ればE資格の合格証を授与される。

ジェネラリスト検定は2020年に10万人

 G検定はビジネスパーソン全般を対象にしており受験資格はない。協会では、2020年までにG検定者は10万人になると見込んでいる。シラバスは、「AIとは」「AIをめぐる動向」「AI分野の問題」「機械学習の具体的手法」「深層学習の概要」「深層学習の手法」「深層学習の研究分野」「深層学習の応用に向けて」で構成する。

日本ディープラーニング協会のホームページに掲載されているG検定の問題例

 G検定の第1回試験は12月16日で、2時間のオンライン試験である。受験料は1万2960円(税込み、学生は9720円)。11月17日から申し込みを受け付ける。

 E資格、G検定ともに試験委員会が試験を作成する。試験委員会メンバーは松尾氏をはじめ、早稲田大学の尾形哲也教授、東北大学の岡谷貴之教授、東京大学の江間有紗特任講師などが名を連ねる。

トヨタが賛助会員に名乗り

 10月4日時点で同協会の正会員は11社で、賛助会員にトヨタ自動車が1社で名乗りを上げた。

 正会員はABEJA、ブレインパッド、FiNC、GRID、IGPIビジネスアナリティクス&インテリジェンス、エヌビディア、PKSHA Technology、STANDARD、UEI、クロスコンパス、ZERO TO ONEである。

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