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AIは特定分野の強みがないと生き残れない、ディープラーニングで医療・介護、製造、HRを攻めるーーエクサウィザーズ新社長・石山洸氏

2017.10.12市嶋 洋平

リクルートホールディングスのAI研究所を立ち上げた石山洸氏が人工知能(AI)による介護に取り組むベンチャー、デジタルセンセーションに転じたのは今春。それもつかの間、AIスタートアップのエクサインテリジェンスとの経営統合を発表し、10月1日付で新会社エクサウィザーズの代表取締役社長に就任した。AIベンチャーとスタートアップの経営統合の狙いはどこにあるのか、日本は米中のAI企業に勝ち目はあるのか聞いた。

 日本はAI分野で巻き返して、国として産業競争力の向上に寄与できるか。

 ビッグデータやAIには米グーグルのような圧倒的なプレイヤーがいるが、その一方で個別の産業分野では勝ち目があると思っている。AIを活用することで競争力を向上させることは十分に可能と考えている。

米でも「すごいもの」はあまりない

 例えば、米国でHRの分野のカンファレンスに行ったり、米国企業のHRのソリューションを見たりしても、「これはすごい」というものはあまりない。介護の分野でもそうだ。デジタルセンセーションが取り組んでいたユマニチュードでいえば、手法を支援するAI活用は日本だけで取り組んでいる。つまり日本で作ったAIを欧州などにも展開していくことができる。

ただ日本ではAIの基礎的な技術に精通したエンジニアが足りないとの指摘もある。日経ビッグデータでAI活用の支援企業を調査したところ、特にディープラーニングの人材不足が深刻であるとの回答が多くあった。

 現場のエンジニアの人材については、私が副主査を務めていた「人工知能技術戦略会議の産業連携会議AI人材育成タスクフォース」でも話題になっていた。日本のAI人材まだまだ育っていないので、母数を増やすのは重要である。その意味で、東京大学の政策ビジョン研究センターの客員研究員を務めているのは、社会人博士課程、経済研究課程向けの授業、ひいては様々な学科で使えるAIについての授業や教材を作りたいとの思いからだ。

 注目すべきは米国や中国のAI人材の動きである。コンピュータサイエンスの学科の数がもともと多いし、ものすごい勢いで増えている。ただ、各産業分野におけるノウハウが重要で、エレクトロニクスやメカトロニクス、医学、経済があってAIが重要になっている。米国ではコンピュータサイエンスと他の分野を習得するダブルディグリーが増えている。

 一方で日本は特定の分野に注力し、それを改善していくスピードが極めて早い。各産業の現場と研究者でPDCAを回していくことができれば、勝ち目があると思う。例えば、HRの分野で言えば、新卒採用だけでなくそれを配属や退職の予測にも横展開する、ヘルスケアの分野に適用していく、といった応用を非常に早い速度でこなすことができる。様々な分野でPDCAを回していけばデータセットが揃い、特定分野のAIを素早く育てていくことができる。日本人は器用なのでこうしたことができると思う。

 いずれにしてもエクサウィザーズのように社会課題を解いていくというAI会社にいい人材が集まってくると思っている。やはり、今後は「AI×産業」のように何かを掛け合わせたものが重要だ。

 視点を変えると私はリクルートにいたときは世界的なAI研究者であるアロン(・ハレヴィRecruit Institute of Technology CEO)を獲得した。どの人材会社もできなかったことで、私自身にはこうしたAIのトップ人材を獲得する力があるとも言える(笑)。

 エクサウィザーズの合併後最初の事業として人材教育に取り組んでいる。

 AIは難しい分野と思われがちだが、そうでもない。本腰を入れて学べば習得できる。ただ、AIの会社として教育をやっていく必要を痛感している。と言うのも、AIを利活用したいのだが、要件が決まっていない会社が多い。どういう利活用の可能性があるのかというところから顧客と要件定義していかないといけない。そうした要件定義などができる人材を獲得していきたいが、我々はコンサルティングファームになるわけではない。

顧客のリテラシーを上げて、AIの活用を進めやすく

 そこでAI活用の教育事業に取り組むことにした。潜在的に顧客となるような企業側のリテラシーを上げることで、利活用のアイデアを定めやすくする狙いがある。現場の担当者だけでなく、企業の役員向けのAIについての研修で講師を務めることもある。

 こうして顧客の側でのAI活用の成熟度が上がっていけば、AI活用ありきではなく、AIを活用した新しいアイデアが生まれてくる。エクサインテリジェンスが開発した、AIの学習済みモデルの活用プラットフォームである「exaBase」のようなサービスが本格的に活用されるようになるのではないか。こうした展開ができる点でも、両社を統合してエクサウィザーズとなってよかったと思っている。

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