今月のビジュアライゼーション

“プレ金”に最も人が減ったのは「霞が関」で前週比20%減、携帯電話の位置情報分析で分かった実態

2017.03.08浅野 礼子=ドコモ・インサイトマーケティング

ビジュアライゼーション

プレミアムフライデーによって、人の動きに変化はあったのか。「モバイル空間統計」が提供する携帯電話の位置データを使い、サラリーマン層の本当の動きを分析した。

 2月24日、初めてのプレミアムフライデーを迎えた(プレ金とも言われる)。政府肝煎りで始まったプレミアムフライデーだが、報道によれば導入企業はまだ少なく、大きなムーブメントは今後に期待、といった印象を受ける。実際に人の動きに変化は起きたのだろうか。当社が提供する「モバイル空間統計」を用いて分析してみた。

 モバイル空間統計とは、NTTドコモの7000万台の携帯電話のつながる仕組みを活用して作成する人口統計情報である。人の記憶や印象に頼るアンケート回答とは異なる、リアルな人の動きのデータを取得、分析できるのが特長だ。

 分析対象日はプレミアムフライデー当日の2月24日と、前週金曜日の2月17日。分析対象者はプレミアムフライデーによる影響が大きいと想定されるサラリーマン世代(20代~50代の男性)とし、一都三県を対象に分析した。時間帯は、通常であれば多くの企業の終業時間前である午後5時台の動きに注目する。

霞が関は20%減、ディズニーは30%増

 まず、プレミアムフライデー当日と、前週の人口の差分を500mメッシュごとに集計し、人口が増加しているエリアをピンク、減少しているエリアをブルーで表示する(下図)。

午後5時台の人口の増減マップ(単位:人)。ピンクが増えた地域、青が減った地域になる

 午後5時台に一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)で人口が最も減ったエリアは霞が関となった。霞が関周辺では、約4500人が減少、前週比20%減となった。プレミアムフライデーの旗振り役である経済産業省を筆頭に、積極的に取り組みを実施したようだ。霞が関に続いて、品川、赤坂、永田町とオフィス街を中心に人口減少が大きかった。

 逆に、午後5時台に最も増えたエリアは新宿となった。新宿東口、新宿三丁目周辺では、前週より約4000人が増加し、前週比10%増となった。続いてみなとみらいは約2300人が増加し同50%増、中野駅周辺は約2000人、ディズニーリゾートは約1800人が増加し、それぞれ同30%増となった。特に、みなとみらいでは午後3時台から80%増となっており、プレミアムフライデーを楽しむ人をしっかりと集客できた成功事例と言えるかもしれない。

中野区民は自宅周辺、江戸川区民は区外に

 続いて、地元滞在率を分析する。プレミアムフライデーを、いつもより早く帰宅、もしくは自宅周辺で過ごした人はどの程度いるのか。プレミアムフライデー当日、午後5時台に居住地である市区町村に戻って過ごしたサラリーマン世代の数を、前週と比較してランキングにした。

 東京23区を対象として分析を実施したところ、中野区が最も高く、午後5時台に中野区で過ごした中野区民は前週よりも約1700人、4%近い増加となった。対して、江戸川区は最も低く2300人、約2%の減少となった。帰宅せず、もしくは区外に外出して過ごした人が多かったようだ。居住地ごとに動きを分析することで、行動パターンの違いを把握することができる(下図)。

23区における地元滞在率(居住地の区に滞在していた人の割合)の前週比ランキング

 モバイル空間統計は、大規模なサンプルから作成した統計情報であることから信頼性の高いデータであることが特長であり、性年代別や居住地別の分析が可能だ。今回はサラリーマン世代の男性に絞った分析を実施したが、その他にも様々な切り口で分析できる。また、日本全国の1時間ごとのデータを2013年10月分から蓄積しているため、過去と比較して分析できる。2014年11月分からは訪日外国人のデータ提供も可能であり、日本人と訪日外国人の比較や、国別に人気の観光スポットなどを分析できる。

 初回のプレミアムフライデーは、企業の準備が整わないこともあり、経済効果は限定的とも言われていた。しかし、人の動きを分析してみると、確実に変化が起きている。今後もプレミアムフライデーを定点観測すれば、地域ごとにその浸透度を測ることができる。民間企業が、毎月変化するであろう人の動きをデータで精緻に捉えて施策を打つことで、さらなる経済効果が期待できるはずだ。

浅野 礼子 | Reiko ASANO
ドコモ・インサイトマーケティング エリアマーケティング部。モバイル空間統計を活用して、観光戦略、出店計画の戦略立案や効果測定、顧客分析などに従事

印刷

関連記事

日経ビッグデータ関連記事

日経ビッグデータの最新号

3月号特集

オンリーワンデータで成長戦略を描く

現場に出向けば、価値あるデータを創出できる

年間購読のご案内

申し込む

お問い合わせ

日経ビッグデータのサイトへ

本サイトは更新を終了しました

 「日経ビッグデータ」は2018年4月2日、「日経クロストレンド」に名称を変更しました。データ活用やAI関連の最新記事は日経クロストレンドでお読みください。

 本サイトは更新を終了し、19年3月31日に閉鎖する予定です。長い間のご利用、ありがとうございました。