今月のビジュアライゼーション

訪日外国人の口コミ増加率を都道府県別に比較 首位は山口県、旅行者が「伝えたい」場所とは

2016.11.01アレックス・ザバヴァ,前島 直紀=カーツメディアワークス

ビジュアライゼーション

訪日外国人の観光市場はゴールデンルート(東京・大阪間)一極集中から、地方への送客が焦点となってきた。そこで、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の口コミ数の伸びなどから、今後人気が高まりそうなエリアを占った。

 トリップアドバイザーは約3億5000万人の月間ユニークユーザーを集め、口コミ数は累計3億8000万件に達する。そこで日本の宿泊、飲食、観光施設などへの外国語での口コミ数を都道府県別に集計。2011年から2015年への伸び率を算出して「口コミ成長率」とした。また、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」から都道府県別の訪問率(各年の訪日外国人の何%が訪問したか)の同期間の伸び率を「訪問成長率」とし、2つの指標から分析を試みた。

 ビジュアライゼーションはインタラクティブな散布図という形をとった。本誌サイトに掲載した記事上では、ランキング項目を切り替えて訪問率や口コミ数が伸びた都道府県を一目で分かるようにした。

 まず訪問率の成長率が高い都道府県は、千葉県、沖縄県、静岡県、石川県、山口県、奈良県の順となった。ただ、千葉県は日本への第1のゲートウェイである成田空港があるため、分析対象からは外した。一方、口コミ数の成長率は山口県、山梨県、富山県、沖縄県、石川県の順となった。

 下の散布図の上では、訪問率の伸び率が高い都道府県は上に位置し、口コミ数の伸び率が高い都道府県は右に位置する。なお、バブルの大きさは2015年訪問率の高さを示す。

 上位5地域中、山口県、沖縄県、石川県の3県は共通しており、5年間で最もインバウンド観光が成長していることが分かる。また、口コミと訪問の成長に相関がある可能性がうかがわれた。

口コミ急増県、山口県は何が注目された?

 沖縄県では格安航空会社(LCC)を通じた便数の増加、石川県では北陸新幹線の開業など、インフラの充実が一因になったと推測される。

 一方で、山口県が、口コミ数の増加率でトップとなったのを意外に思われる方もいるかもしれない。口コミを詳細に見ていくと、口コミが全く無かった施設への新規投稿が全体的に増えていた。また、岩国市にある木造のアーチ橋の「錦帯橋」や「岩国城」など日本文化を感じさせる名所の口コミ増加率が高く、人気を博していることが分かる。口コミ内容から広島県から足を延ばしている傾向も見て取れた。当初の口コミ件数が少なかったこともあるが、山口県が持つ観光資源は「人に伝えたい」と価値が評価されているのは確かだ。

 トリップアドバイザー代表取締役の牧野友衛氏は、「口コミは旅行者の目線で見て、感じたことが書かれている。それだけ信憑性も高く、それを参考に次の旅行者がその場を検討することは十分にあり得る」と語る。同社が協力して実施した口コミと旅行予約に関する調査によると、回答者の68%が、「観光名所について知るために口コミが役立つ」と答えているという。牧野氏は、「外国人旅行者の誘致を強化していきたい県は、旅行者が計画をする段階でその土俵に上がるためにも、自らの県が持つポテンシャルを再認識し、口コミを増やす取り組みを行うことが重要になるだろう」と語る。

 口コミの成長率の高い地域が今後、訪問者数をさらに伸ばす可能性を持つと推測できる。今回の分析で、口コミ数の成長率が山口県に次いで高かった山梨県や富山県は、今後さらに訪問者数を増やす可能性を秘めているとみることができる。

 その口コミ数を今後増やすべく、海外のニーズにマッチした情報配信、外国人に向けて最適化した施設やインフラの充実の2本柱を立てた戦略に取り組む必要がある、と「長期訪日外国人」である筆者は感じた。

カーツメディアワークス | Kartz Media Works
インフォグラフィックスを共有して世界に「伝える」投稿型サイト「infogra.me」を運営する。本稿は取締役のアレクサンドル ザバヴァが執筆(フランス出身)

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