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食と料理は「イノベーションのフロンティア」 IoTが変えるキッチンの未来

「スマートキッチンサミット」主催・シグマクシスの田中宏隆ディレクターに聞く(前編)

取材・文:栗田 洋子 / 写真:中島 正之(特記なき写真) 10.24.2017

世界中のだれもが毎日向き合っている食や料理。このとてつもなく大きなマーケットが、IoT(モノのインターネット)など最先端のテクノロジーによってどんなふうに変わり得るのか──。「食&料理×テクノロジー」をテーマに、さまざまな分野の人々が集まり、キッチンの未来を熱く語るイベント「スマートキッチンサミット」が8月25日に初めて日本で開かれた。主催したシグマクシスの田中宏隆ディレクターは、10月10〜11日に米シアトルで開かれた「スマートキッチンサミット」にも参加。欧米で進むキッチンのスマート化を目の当たりにし、日本でも食と料理の分野で業界の垣根を越えたイノベーションを目指す田中宏隆氏に、キッチンの未来について聞いた。

日本で初めて開催された「スマートキッチンサミット」(写真:シグマクシス提供)

──先日、10月10~11日に米国で開催された「第3回 スマートキッチンサミット」はいかがでしたか。

今年のサミットは、昨年よりもさらに盛り上がりを見せていました。2日間にわたり50を超えるセッションがあり、非常に多岐にわたるテーマで次世代の食や料理の在り方について活発な議論が展開されました。朝一番から夕方まで休み時間もほとんどなくスケジュールが埋まっており、どうやら次から次へと「話したい」という企業が現れた結果、そうなったんだそうです。

驚かされたのは、それぞれのセッションが既に具体的な製品やサービスに取り組んでいる企業によるものだったこと。昨年にも増して、米国市場の先進性を痛感しましたね。100社を超える候補からファイナリスト15社のユニークな製品・サービスを紹介・展示するスタートアップショーケースもあったのですが、改めて層の厚さを感じました。とにかく新しいものが出てきていることに感銘を受けました。

東京で「スマートキッチンサミット」を開催したシグマクシスの田中宏隆ディレクター

ちなみに、本ショーケースに初めて日本の企業もファイナリストに選出されました。自動でクレープを焼くロボットを製造する「モリロボ」という会社ですが、非常に多くの関心を集めていました。サミットの後に、シアトル拠点のスマートキッチン関連のスタートアップ数社と議論をしてきましたが、日本市場への関心、日本企業とのパートナーシップに関心を示している企業も多かったです。

──昨年、シアトルで行われた「スマートキッチンサミット」に参加したことが、日本でも同様のイベントを開催しようと思ったきっかけになったそうですね。

米国で2015年にスタートした「スマートキッチンサミット」は、スマートホーム・キッチン領域のコンサルタント・リサーチャーであり、「The Spoon」という食と料理のテクノロジーに関するメディアも運営しているマイケル・ウルフ氏が、新しいテクノロジーによってキッチン関連のサービスが増えていることに注目し、「これほど増えているのなら、一度集まってみんなで話してみよう」と企画した民間企業主催のイベントです。参加する前は「スマートキッチンサミット」という名称があまりピンとこなく、何だろうという感じでした。

米国で「Smart Kitchen Summit」を開催するマイケル・ウルフ氏(写真:シグマクシス提供)

ところが、行ってみると50社を超えるプレゼンターがいて、数百人に上る人が、ものすごく熱く新しいビジネスについて語り合っており、まさに“雷が落ちた”ような衝撃を受けました。昨年は残念ながら日本からの登壇者はゼロで、日本人の参加者も私が知る限りほぼいなかった。これはもったいない、と思ったのがきっかけですね。