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Retty鼎談「回顧2017 外食」(前編)――2017年の外食事情を総括! SNSが外食の世界を突き動かす

「ノンジャンル化」「地方の躍進」「コラボイベントの増加」進む

写真:大槻 純一 / 構成:橋富 政彦 12.22.2017

2017年の外食事情を総括! 日本最大級のグルメサービス「Retty」のグルメニュース編集長・草深由有子氏(司会進行)、ぴあのメディアプロデューサーで「東京最高のレストラン」編集長・大木淳夫氏、フード・アクティビストとして多彩な活動で知られる松浦達也氏の“食”の動向を知り尽くした3人が2017年を振り返り、キーワードをもとに最新トレンドから注目の店やシェフの活躍について徹底的に語っていただきました。(前編)(以下、敬称略)

おいしければジャンルにこだわらなくてもいい

Rettyグルメニュース編集長 草深由有子氏
日之出出版、ベネッセコーポレーションを経て、2015年クックパッド編集長に就任。2017年2月よりRetty株式会社に移り、グルメメディア「Rettyグルメニュース」の編集長として、「『人』から食を捉えると、グルメはもっと楽しくなる!」をテーマにコンテンツを配信している

草深 いよいよ年の瀬も迫ってまいりましたが、今年2017年の“食”にどのような流れや傾向が見られたか、またそれが来年2018年にどのようにつながっていくのか、ざっくばらんにお話を聞かせていただければと思います。

まず、大木さんは2017年を振り返ってみていかがでしたか。

大木 私は今年のキーワードとして、「ノンジャンル化」「地方の躍進」「コラボイベントの増加」の3つを挙げたいと思います。

「ノンジャンル化」というのは、従来のジャンルに縛られずに料理を作るシェフが増えてきたということ。おいしければジャンルにこだわらなくてもいいという考え方にもとづいたシェフの新しい業態が注目を集めました。

草深 ジャンルの垣根がなくなってきた、と。

大木 そうですね。例えば、東京・浅草の「ペタンク」東京・箪笥町の「ボルト」です。フレンチのシェフが気軽な居酒屋のようなビストロをオープンしました。しっかりと磨かれたフレンチの技法があるから、何げないおつまみでも新しい味に昇華しているんです。フランス料理の新しい道を切り開き、今後も続くであろう新たな業態を生み出すことに成功したと思います。

SNSでシェフ同士がジャンルを超えて交流

ぴあ メディアプロデューサー 「東京最高のレストラン」編集長 大木淳夫氏
日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に『グルメ多動力』(堀江貴文)、『東京とんかつ会議』(山本益博・マッキー牧元・河田剛、『一食入魂』(小山薫堂)などがある

松浦 ノンジャンル化の背景には何があるのでしょう。

大木 それはやっぱりSNSの浸透でしょうね。これは先ほど挙げた他の2つのキーワードにもつながる話ですが、フェイスブックなどでジャンルの垣根を越えてシェフ同士が交流することで新しい発見があり、いろいろな挑戦ができるようになっていったということでしょう。

草深 料理人同士がネットワークを広げてインスパイアされていったということですね。

大木 お客さんの側にしても、フレンチだとかイタリアンといったジャンルにこだわらなくなってきて、おいしければいいという傾向が出てきたと思います。

フード・アクティビスト 松浦達也氏
テレビ、ラジオでの食トレンド・ニュース解説のほか、食専門誌から新聞、雑誌、Webで「大衆食文化」「食から見た地方論」をテーマに全国を巡り、執筆、編集を行う。「調理の仕組みと科学」を重視したレシピ開発も。著書に『新しい卵ドリル』『大人の肉ドリル』など

松浦 「ペタンク」や「ボルト」のような業態は今後も増えていくでしょうね。ここ数年、ビストロやエスニックなどでも居抜きのスナックを改装したようなカウンター系・小規模店が注目される流れがありましたが、来年以降、その傾向はいっそう強くなっていくと思います。

大木 その流れは確実にありますよね。経営面からしても賃料コスト削減という大きなメリットがあります。実際、不動産屋では飲食店のテナントは5坪の物件からなくなっていくそうです。

また、元「メッシタ」の鈴木美樹シェフが自宅を改装して始めた「鈴木家」のような、新しい形もお店経営の自由度を広げました。