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Retty鼎談「回顧2017 外食」(前編)――2017年の外食事情を総括! SNSが外食の世界を突き動かす

「ノンジャンル化」「地方の躍進」「コラボイベントの増加」進む

写真:大槻 純一 / 構成:橋富 政彦 12.22.2017

2017年は“脱・霜降り元年”

草深 松浦さんが今年の傾向として注目したポイントはどんなところでしょう?

松浦 ジャンル的な話をすると肉は相変わらず人気ですが、今年はようやく“脱・霜降り”が本格化した年だったと思います。これまでも赤身肉や熟成肉の注目が高まっていましたが、やっぱり多くの店では最高級とされる“A5”ランクの真っ白な霜降り肉を売り文句に使うのが当たり前という風潮でした。

しかし、今年は浅草の老舗すき焼き店「ちんや」がA5ランクの霜降り肉を扱うことをやめて“適サシ肉”だけを使うと宣言。これが大きな転機になりました。他の人気すき焼き店でもA5ランクの霜降り肉を使わなくなったところが増えてきています。肉の味わい方が多様になってきたということかもしれません。それを象徴するように近江牛専門を掲げていた滋賀県の精肉店「サカエヤ」がリニューアルオープンした際、看板から「近江牛専門」の文言を外しました。店主はもともと既存のブランド肉の枠組みに懐疑的な方ですが、その姿勢をさらに明確に打ち出したと言えると思います。

肉に含まれるアラキドン酸という物質が脳内で幸せホルモンになるなんて話もありますから(笑)

草深 Retty グルメニュースでもお肉は本当に人気がありますね。肉関連の記事を配信するとアクセス数がぐぐーんと伸びます。

大木 「ウルフギャング・ステーキハウス」のような大型店や「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」のような単価の高い店が連日満員になってますからね。そして行ってみるとわかりますが、みんな笑顔で本当に楽しそうに肉を食べてるんですよ。もう何も考えずにただかみしめているだけでおいしさを味わえるという肉ならではのポテンシャルが発揮されてます(笑)。

松浦 一説には肉に含まれるアラキドン酸という物質が脳内で幸せホルモンになるなんて話もありますから(笑)。

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日本のグルメを支える40~50代は脂が苦手?

大木 根源的な喜びが感じられるんでしょうね。

草深 Rettyのアンケートでは、焼肉、ステーキ、それと鉄板焼きが人気です。部位だとカルビよりは、タンやヒレといったさっぱりした部位が支持されていますね。

松浦 「ちんや」の適サシ肉宣言は、誰もがうっすらと疑念を持っていたことについて、老舗すき焼き店が態度を明確にしたという面からもたたえたい。たいへん僭越ではありますが。

大木 今の日本のグルメを支えているメインの層は40~50代だから脂が多すぎると厳しいんですよ。もたれちゃって(笑)。

松浦 同じA5でも肉牛はキロ単価をベースに値付けされる仕組みになっていますから、生産者はどうしても増体重視で大きく育てることを優先してしまう。最近、いい脂が入った肉牛が減っている印象があります。

草深 なるほど。