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Retty鼎談「回顧2017 外食」(後編)――ワンハンドスイーツでインスタ映え。2018年は豚肉ブーム到来!?

2017年の外食事情を総括し、2018年を大胆に予測

写真:大槻 純一 / 構成:橋富 政彦 12.26.2017

2017年の外食事情を回顧する鼎談。日本最大級のグルメサービス「Retty」のグルメニュース編集長・草深由有子氏(司会進行)、ぴあのメディアプロデューサーで「東京最高のレストラン」編集長・大木淳夫氏、フード・アクティビストとして多彩な活動で知られる松浦達也氏の“食”の動向を知り尽くした3人に、引き続き2017年のトレンドを総括してもらうと同時に、2018年の新たな動向について語っていただきました(後編)。(前編はこちら


行列ができるとんかつ店が増加した一年

フード・アクティビスト 松浦達也氏
テレビ、ラジオでの食トレンド・ニュース解説のほか、食専門誌から新聞、雑誌、Webで「大衆食文化」「食から見た地方論」をテーマに全国を巡り、執筆、編集を行う。「調理の仕組みと科学」を重視したレシピ開発も。著書に『新しい卵ドリル』『大人の肉ドリル』など

松浦 2017年は「スパイス&ハーブ」がキーワードとして注目されるようになったことを指摘しましたが、その背景には油を使わなくてもスパイスとハーブをうまく使えばおいしくて満足度の高い料理はできるという発見があったからだと思います。

と、そんなことを言っておきながら、もうひとつ2017年のキーワードとして挙げたいのが「揚げもの」なんです。何だかんだ言っても、油はおいしいな、と。

草深・大木 (笑)

ぴあ メディアプロデューサー 「東京最高のレストラン」編集長 大木淳夫氏
日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に『グルメ多動力』(堀江貴文)、『東京とんかつ会議』(山本益博・マッキー牧元・河田剛、『一食入魂』(小山薫堂)などがある

松浦 とくにとんかつですよ。今年は戦後から脈々と築き上げられてきた“とんかつ文化”が、大ブレイクした一年ではないでしょうか。

行列店もどんどん増えてきました。東京・高田馬場はもう“とんかつの街”のようになりましたよね。「成蔵」は下手すると2時間半ぐらい並びます。

大木 アジアからの観光客も多いんですよね。

松浦 高田馬場は2~3年前はふらっと食べに行くことができた「とん太」や今年オープンした「とんかつ ひなた」も行列がすごいことになっています。

牛肉文化圏だった関西でもとんかつが評価されるようになってきて、大阪府八尾氏の「マンジェ」という店も人気を集めていますね。

大木 誰が始めたのかわからないけれど、とんかつの真ん中のひと切れだけ上に向けて断面を見せる写真の撮り方がはやりましたね。

草深 インスタグラムなどで良く見るようになって、とんかつに対する女の子のイメージはだいぶ良い方に変わったと思います。

“ポスト牛肉”にハマるのは安い豚肉なんじゃないか

松浦 とんかつ人気はやっぱり調理技術の向上が大きいですね。これまでは豚肉は「茶色くなるまで」熱を通すことが前提でしたが、「そこまで高温にせずとも安全」という知見が積み重ねられ、調理技術も向上してこれまでとは比較にならないほどジューシーな味わいを出せるようになったんです。こうした流れもあって、来年は「豚肉人気」が来るのではないかと予想しているんです。

Rettyグルメニュース編集長 草深由有子氏
日之出出版、ベネッセコーポレーションを経て、2015年クックパッド編集長に就任。2017年2月よりRetty株式会社に移り、グルメメディア「Rettyグルメニュース」の編集長として、「『人』から食を捉えると、グルメはもっと楽しくなる!」をテーマにコンテンツを配信している

大木 さっき話に出てきた「サカエヤ」(前編参照)だけが取り扱っている愛農ナチュラルポークのような品質の高い豚肉も注目を集めてますよね。日本で唯一の全寮制有機農業実践校である愛農高校の生徒たちが育てた豚肉で、実際にすごくおいしい。愛情管理によるストレス軽減が味の良さにつながっていると言われています。「サカエヤ」が認めた飲食店にしか卸さないとか。

松浦 愛農ポーク、おいしいですよね。ブランド豚肉もずいぶん多様になりました。イベリコ豚はすっかり定着しましたが、そのほかにもハンガリーの“食べる国宝”といわれているマンガリッツァ、四元豚にさらに交配を重ねた五元豚、酵母菌を飼料に利用した掛川酵母豚といった高品質な豚肉がいろいろと出てきました。とんかつ以外にも東京・中十条の「ポークストック」東京・東五反田の「ぽるこ」のような、フレンチやイタリアンの技術を活かした豚肉料理店も話題になっています。これまで探してきた“ポスト牛肉”にハマるのが高品質で牛肉よりも安い豚肉なんじゃないか、と。