ナウい飲みニケーション!

ユーザーが社員になる!? ジェネレーションギャップがユーザー理解に役立つ/Fablic

第10回 Fablic

文:西本 美沙 / 写真:菊池 くらげ 12.21.2017

こだわり2:スタートアップだからこそ区切りのタイミングが必要

社員が数人しかいなかった創業当初から四半期ごとに社内飲み会を続けているFablic。よほど創業メンバーはお酒好きなのでしょうか……? 「いえ、創業メンバーの4人中2人はお酒が飲めないんですよ(笑)」(西野さん)

え!? じゃあ、なんでそんなに飲み会を大切にしているのでしょう。Fablic代表取締役CEOの堀井翔太さんはこう言います。

「会社の振り返りと社員へのねぎらいを込めてですね。創業当初って、みんな馬車馬のように働いて息をつく暇もなかったんですよね。だからこそ、せめて四半期に一度、会社の数字を振り返る際には区切りをつけて『お疲れさま』とねぎらいの会をしたいと思ったんです。スタートアップは事業拡大時に急激に社員も増え、気がつけば知らない人同士で仕事をしていることも少なくありません。今ではFablicの社員は120人を超えましたが、どんなに人が増えても、やっぱりスタートアップはチームワークが良くないと乗り越えられない局面が多々あります。だからこそ、このような場を作ることで社員同士の理解が深まればいいなと思っています」

堀井翔太代表取締役社長(右)もクイズ大会にノリノリ

こだわり3:ジェネレーションギャップを解決すればユーザー理解につながる

それにしても本当に若い女性がいっぱいです。Fablic社員の平均年齢は32歳ですが、カスタマーサポートに関しては、8割が「フリル」ユーザーからの採用で、なかには学生アルバイトの方もいるそうです。リアルなユーザーの声を重視しているFablicでは、新機能のチェックなども、ユーザーでもあるカスタマーサポートメンバーとエンジニアが話し合いながら、本当にユーザーに喜ばれる機能かをチェックしているといいます。

でも若いユーザーを雇うと、社員との間にジェネレーションギャップが生まれて、仕事がやりづらくなることもあるのではないでしょうか? エンジニアの上杉さんはこう言います。

「もちろんジェネレーションギャップは感じています。でもそれを嫌がっていちゃダメですよね。むしろ、そのジェネレーションギャップをうまく生かすことが大事だと思っています。カスタマーサポートと連携し、いかにユーザーの意見をくみ取れるかがサービス拡大にとって重要です。そのギャップを埋めるためにも、このような飲み会が役立っています」

エンジニアの上杉さん

「カスタマーサポートとエンジニアのやり取りは多いですが、相手を知らないままだとうまく伝わらないことも多々あります。でも、こういう飲み会でお互いのキャラクターを知った上で仕事のやり取りをすると伝わる部分が大きいと実感しています。それにカスタマーサポートだけでなく、事業が拡大すればするほど、例えばデザイナーなど、当初は同じ部署だったメンバーが別のセクションとして独立します。そうすると、お互いに分からないことも出てくるので、こういう場が相互理解の一助になります」

実際にユーザーから社員になったカスタマーサポートの磯野さんにもお話を聞いてみました。

ユーザーからカスタマーサポートになった磯野さん

「カスタマーサポートに関してはユーザーからの採用をポリシーにしています。もともと私もフリルのヘビーユーザーで、アプリ内の求人募集を見て大学生アルバイトから始めたんです」

大学生から働いていたという彼女によれば、やはり社内のコミュニケーションギャップを感じることがありました。

「エンジニアの方とメッセージツールでやり取りすることも多いのですが、チャットなので相手の表情や感情まで読み取れないんですよね。どんな人か分からないことも多くて、これって怒られているのかな?と思うこともありましたが、こういう場で一度話すと、『あ、この人、別に怒っていなかったんだ』と分かるので互いに仕事がしやすくなりました」

社員のねぎらいと相互理解を深めるための飲みニケーション。事業が拡大し、幅広い年齢層が働く企業になればなるほど社内にはジェネレーションギャップが生まれてしまいます。しかし、ジェネレーションギャップを悪いものとしてではなく、むしろ価値のあるものだと捉え、相互理解を深めることで、ジェネレーションギャップを埋めるだけでなくユーザー理解にもつながっていくというFablic。飲みニケーションはその一役を担っていました。

若者とは会話が続かないし、分かり合えないから飲み会は遠慮しようかな……と感じてしまいがちですが、苦手意識があるからこそ、お酒の力を借りつつ会話をすることがギャップを埋める近道かもしれないと感じた夜でした。

西本美沙(にしもと・みさ)
ライター/PR
株式会社ドワンゴで各種サービスの宣伝・広報を経て、2016年退職。現在はフリーランスで女性向けメディアなどのライティングのほか、各企業のPR業務に従事。だいたいお酒と黒猫と戯れてます。
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