ネオンとオンナ

「港区女子」的恋愛の末路と「射程距離短いガール」

主観強めの女子と客観視がすぎる“こじらせ”の差異が見せる、恋の遠洋漁業と近海漁法論

文:鈴木 麻友美 11.07.2017

「港区女子」はちらほらと実在する。港区を主戦場に高スペックのメンズをハンティングすべく奮闘するキラキラしたヒラヒラの女たち。しかし筆者のちょっとした経験を踏まえると、港区女子的な恋愛戦略の行く末は決して明るいとは言えない。逆に無邪気な自意識をダダ漏れさせつつ至近距離の男性からモテまくる「射程距離短いガール」のほうが幸せかもしれないのだ。

34歳の私のまわりにも「港区女子」はちらほらと実在する。私は港区女子が好きだ。今回は彼女たちに捧げるお話を。

「東京カレンダー」で港区女子の連載が話題になっている。ここでのお話のごとく、港区を主戦場に高スペックのメンズをハンティングすべく奮闘するキラキラしたヒラヒラの女たち、それが港区女子。

港区女子には、 自身がバリキャリでありながらパートナーにはさらに上を求める超ハングリー女子もいれば、彼氏や旦那のステータスにより「何者か」になりたいゆるふわOLもいるし、食い扶持を探す自称モデル自称グラドルもいる。

かくいう私も20代半ばまでは、タワマンでのホームパーティに行ったり、外資系ホニャララの男性がいる飲み会に出かけていた。

きっかけは、当時交際していた男性と別れたことだったと思う。風邪をひいた友人の代打で行った合コンで出会った彼は外資系証券会社勤務で、新聞社勤務だった私の軽く5倍くらい稼いでいた。そして労働時間は私の半分。

そんな彼(ちなみに外国人だった)に「まゆみたちってそんなに長時間働いてさらに会社の人と飲みに行って、時給換算したらアルバイト以下だよね」と言われ、「うるせぇほっとけ」と言いつつ地味にへこんだりした。世間的には恵まれたお給料をもらっていたのにだ。2人で10万円ほどするレストランに連れていってもらったり分不相応なこともした。

ほどなくして別れ、社内恋愛といった同じコミュニティの人と付き合う才能が一切なかった自分は、夜の街に狩りに出た。

港区女子的な生き方は、常に男たちの容赦なき評価にさらされる

飲み会の参加回数を重ねてくると、事前に男性側の職業や属性を聞かずとも、開催場所や店名を聞けばどんな男性がどういう構成比で来るのか3秒ではじきだせるようになる。

ミッドタウンあたりのテラスレストランだったら外資系金融やコンサルのアラサー男子、西麻布のサパークラブ的な店だったら胸元第3ボタンまで開けて黒光りした(もちろん歯は過剰なまでに白い)自称経営者と、その経営者が「これ、おれの後輩」と言って紹介してくるいったい何の属性における後輩なのかナゾすぎるカバン持ちみたいな若者(だいたいラインストーンがついたTシャツを着ている)。タワマンホームパーティやカフェレストランあたりの飲み会には先生と呼ばれる人や士業が多い、とか。

ある時、夜な夜な女子大生やCAと飲み会をしているおじさんに、「そんなに飲み会しまくって連絡先交換したら誰が誰だかわからなくなりそうですよね」と聞いたら、こんなことを教えてくれた。ガラケーのアドレス帳に登録する時に、顔面偏差値で上からABCとランク外の4段階評価および年齢も一緒に入力しておくんだとか。その上で、「美女枠」「高学歴」「接待用の会話がうまい子」などグルーピングして、男側のメンツの希望でそのグループに一斉送信してブッキングする。

へぇ〜と感心していたが、スクロールする手元を見ていたら私の名前が目に入り瞬間的に高まった動体視力により「ランクC」の文字が飛び込み、心の中でおじさんに鼻フックをし席を立った。

当時は港区女子なんて言葉はなかったが、そういった場に繰り出す女は常に評価にさらされ、己の客観視が必要で、相対的な価値を意識しながら生きなければならないんだと実感したものだった。

そうこうして25歳を過ぎた頃、第一次結婚ブームが周囲の女子に到来した。「大学の同級生と」とか「同期と」とか同じコミュニティ内の男性との結婚。

「高校から8年付き合ってたんです〜」と言われ、「8年か……8年後って自分は33歳か」と意味のない重ね方をして気が遠くなったりした。

そうだ、自分は同じコミュニティの人と付き合ったことがないんだ。近しい人と恋愛に陥るステップとか義務教育で教えてくれよ。