カレースター・水野仁輔の「カレー&ビール」C&B

カレースター水野仁輔が語る「タンドーリチキンは二度おいしい」

第1回:タンドーリチキン&チキンカレー特別レシピ(前編)

文:水野 仁輔 / 写真:鈴木 愛子 06.06.2017

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カレーとビールに徹底的にこだわるこのコラム。執筆するのは、その筋では超有名、東京カリ〜番長改めカレースターの水野仁輔さん。第1回は、タンドーリチキンとチキンカレーのとっておきのレシピをご紹介。

こんにちは。東京カリ〜番長改めカレースターの水野仁輔です。いろいろなところでカレーをつくって、みんなに食べてもらっています。

「カレーに合うドリンクってなんですか?」これまで幾度となくこの質問を受けてきました。

あなたも、疑問を持ったことありませんか? あるでしょう。

では、僕がその都度、なんと答えてきたと思いますか?
「水かビールです」
決まり文句のように必ずこう言う。

言いながら自分で自分に突っ込みます。
「水って……。答えになってないよ」
だって水が合わない料理なんてなさそうだもん。
つまんないですよね。

ただし、ビールは違う。カレーにはビールが合う、ということにはみんなが納得してくれる。

でもね、どうだ!と胸を張って答えている気持ちはないんです。割とみんながそう思っているから。

もっとひねった答えができないだろうか、と、あまりに同じ回答を繰り返す自分自身に嫌気がさして、カレーとワインの相性を3年ほど探ったことがあります。でも、挫折しました。ワインはスパイスの風味に負けちゃうんですよね。

やっぱり、ビールがいい。力強いホップの香りに優しくなめらかな泡、ゴクゴクとやった時ののどごしもいい。

カレーはビールの友。ビールはカレーの友。相性抜群なんです。

そこで、僕は考えを改めました。別にひねらなくてもいい。堂々と「カレーにはビールだ」と答えればいいじゃないか。ま、開き直りですね。

じゃあ、ストレートに「CURRY & BEER」を楽しめるカレーやスパイスを使ったおつまみを披露していこう。そう思い立って、この連載をスタートすることにしました。

よくある食材で、最低限のスパイスで、簡単に絶品の味をつくれる。そんなレシピを伝授しましょう。これを読んでおけば、家飲みも、友達を呼んだパーティも盛り上がりますよ。

では、始めます。

一緒につくれるタンドーリチキンとバターチキンカレー

まず、第1回では、タンドーリチキンとバターチキンカレーをつくりましょう。

「ええ!? いきなりそれ、やっちゃうの!?」というくらい、どちらもインド料理店で人気のメニューです。しかもすごいことに、この2つのメニュー、実は、いっぺんにできちゃう。

なぜか。バターチキンをつくる途中の段階がタンドーリチキンだからです。タンドーリチキンを使えば、そこから10分もかからずにバターチキンカレー、できちゃうんです。

まさにビールを飲みながら片手間にやってもできる。タンドーリチキンってのは、一度で二度おいしい料理なんですね。

ぼんやり味を抜き、風味を入れ込む、それがタンドーリチキン

タンドーリチキンを準備しましょう。
4人分をつくりますが、パーティーだったら1人一口ずつあればいいから、8人くらい食べられるかな。

鶏もも肉を2枚用意します。1枚300グラムだから計600グラム。ちなみに丸鶏を使えば部位ごとの味わいの違いが楽しめます。いずれ丸鶏を使った本格的なタンドーリチキンもつくってみましょう。部位を一つ選ぶなら鶏もも肉ですね。適度に脂肪分があって、ジューシーでうまい。骨がついていないから、食べやすいのもいい。

ここでまな板登場。

ぼくは、このまん丸のまな板を愛用しています。横浜中華街で売っていますよ。実に使い勝手がいいんです。くるくる方向も自由に変えられるし。まな板買い替えを考えている方、おすすめです。

まず、この鶏もも肉の下ごしらえをします。

インドでは、鶏の皮をはぎ取って捨てちゃうんです。インド人は鶏の皮をあまり食べないんですよね。冷蔵庫がなかった時代、皮と身の間が腐りやすかったから取り除いて捨てた、というのが一因と言われています。あとはタンドールという窯で炭火焼するときに、皮が焼かれて脂分が落ちすぎると煙が上がりすぎちゃうんですよね。チキンがススっぽい味になっちゃう。

でも、鶏の皮はおいしいし、オーブンで焼くなら心配はないから、ついたまま作りましょう。

で、最初に大切なのは、キッチンペーパーで、表面を徹底的にふくこと。ドリップといわれる肉汁や水分が浮いているんですが、これを全部ふき取る。要するに表面を乾かしちゃう。すると、乾いた分、ヨーグルトのマリネ液がしっかり肉に染みやすくなるんです。

水分をさらに出すために、ある程度ふいたら、塩こしょうをふっておきましょう。しばらくすると、浸透圧の関係で水分が出るから、これもふきとる。

タンドーリチキンは、「ぼんやりした味を抜いて、その代わりに豊かな風味を入れ込む料理」だと思ってください。だから、水分をふき取ったり脱水したりして、濃縮したマリネ液が鶏肉にしみこませるのがいい。キッチンペーパーが家にないひとは、布巾を使っても構いません。

水分を徹底的にふき取る。ここ、肝腎なところですから、生の鶏もも肉としっかり向き合いましょう。

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