カレースター・水野仁輔の「カレー&ビール」C&B

ビールを入れたらホントにカレーは美味しくなるの?

第3回:スーパードライで煮込んだビーフカレーとサワラのマサラフライ(前編)

文:水野 仁輔 / 写真:鈴木 愛子 08.17.2017

  • ギャラリー1
  • ギャラリー2
  • ギャラリー3
  • ギャラリー4
  • ギャラリー5
  • ギャラリー6
  • ギャラリー7
  • ギャラリー8
  • ギャラリー9
  • ギャラリー10

ビールといえば、カレー。カレーといえば、カレー業界では超有名、東京カリ〜番長改めカレースターの水野仁輔さん。ビール片手にできるすごいレシピを披露します。どなたでも簡単に、おうちで本格的なカレー料理が再現可能です。第3回は、ビールで煮込んだビーフカレー。ほどよくビターでオトナな味わい!

ビールで煮込んだカレーというのは、カレーを作る人なら一度は頭をよぎる手法なんじゃないかと思います。

なんとなくおいしくなりそう。でも、なかなか手を出せない。

理由は2つあります。ひとつは、仕上がりのイメージを具体的に想像できないからちょっと尻込みしてしまう。もうひとつは、カレーに入れるなんてもったいないから、と調理中に飲んじゃう(笑)。

ビールで煮込んだカレーは、ほどよくビターでオトナな味わいになるからおいしいですよ。そして、今回、カレーのほうにはスパイス四天王は登場しません。市販のカレールウでつくります。スパイス四天王はフィッシュマサラフライをつくるときに出てきます。

なぜ、あえてビール入りカレーにスパイス四天王を使わないのか。ビールのフレーバーはしっかりしてますから、負けないくらいのうま味がないとバランスが取れないんです。スパイスカレーでコクやうま味を作るのはちょっと大変。

だから、カレールウに助けてもらいましょう。

僕のオススメのルウは、「ハウス ジャワカレー 辛口」。

理由は、実家のカレーがこれだったから。僕の記憶では、中学生まではジャワでした。うちは父親がいわゆる“厳格な昭和男”だったんですね。「甘ったるいカレーなんて許せない」という考え方と共に「子供は親が食べたいものを我慢して食べればいい」という方針を貫いていました。

だからカレーといえば、父親がひいきにしているジャワカレーの辛口だったんですね。お情けでたまには中辛にしてもらっていたかもしれません。

ジャワカレー自体、カレールウの各種ブランドの中でもかなりスパイシーな部類に入るし、辛口となるとかなりしっかりと辛いんです。こんな辛いカレーをよくぞ小学生のときから食べていたなあ、と思いますが、これで案外、カレーの英才教育(?)になったのかもしれません。

ちなみに、日本のカレールウはすごいです。あれは独立したひとつの料理です。僕は、カレールウが大好きで、カレールウをつかったカレーレシピ本も出しています。スパイスカレーとは別の、日本人好みのコクがあじわえるカレールウと、ビールのマリアージュで、今回のカレーを作りましょう。

まず牛肉400g。スーパーで売っているカレー・シチュー用とステッカーの貼られたいろいろな部位を角切りにしたやつです。考えてみたら、「カレー・シチュー用」っていう肉がスーパーで普通に売られているってすごいことですね。僕たちはなんの疑問も突っ込みもなく普通に買っている。カレーの浸透度たるや。

この肉の表面を、キッチンペーパーで丁寧に吹いて、血とドリップと水分を拭き取ります。これで、肉に味が染み込みやすくなります。

水分をふいた牛肉に塩を適宜ふり、黒コショウをたっぷりめにふって、すり込みます。黒コショウで肉に風味付けと臭み取りをします。

ちなみに、最近僕はカレーの肉に「セロリシード」を塩コショウの代わりに刷り込むのがマイブームです。いい香りがつく。海外に行くと「セロリソルト」って商品が普通に売られている国もありますが、日本ではめったに売ってないんですよねえ。

野菜を切りましょう。

タマネギは大きめを1つ。皮をむいたら、半分に切って、それぞれを縦に4分割。これでおしまいです。みじん切りにはしません。前もって炒めたりもしません。これもマイブームのひとつ。新・水野流、カレーをおいしくするタマネギの扱い方!

次にニンジンを1本。ピーラーで皮をむきましょう。皮をむいたら、輪切りにします。ここ1週間ほどにおけるニンジンの切り方のマイブームは輪切り。なんだかマイブームだらけですね。まんまるのニンジンがころころカレーの中にあるのが楽しいので。パーティー用に出すときも受けますよ。

カレー作りには普遍的な正解というものは存在しないですから、そのときどきに自分のイメージに合う切り方や加熱の仕方を繰り返していくのがいい。トライアルになるから、そんな中からずっと大事にしたいテクニックが生まれたりするものです。ニンジンは、太いところにいくに従って、だんだん薄くなるように切っていきます。