ロジックよりマジック

東北・八戸は「88(やや)異国」!? 東京から2時間44分で行ける“日本離れ”した土地

視点を変えれば、地方はマジックの宝庫だ

文:関橋 英作 04.03.2018

豊かな生活とビジネスのヒントは、ロジックよりもマジックにあり。著名コピーライター&クリエイティブ・コンサルタントの関橋英作さんが素敵なヒントを探る本コラム、今回は東北は青森の港町・八戸の話題。アタマの柔らかい学生さんたちが名づけた八戸の別名は、「88(やや)異国」。そんな“ちょっと外国”・八戸の魅力をムービーと共に探ります。

88異国。「ややいこく」と読みます。東北は北の果て、青森県八戸市の別称です。何やら謎解きのようですが、訪れたことのある方には、ガテンのいくキーワード。大雪、無口、閉鎖的、保守的、何もない、などという北国のイメージとはまったく一致しません。

それどころか、ここはもしかしたら外国?と思わせるような場所が所々に散見する。まさに、ちょっと異国、88異国なのです。

このキーワード、考案したのは、山形にある東北芸術工科大学の学生。八戸の映像をとるためのロケハンに、映像学科教授であり著名CMディレクターである今村直樹さんと共に、企画構想学科と映像学科の学生15人ほどを連れて行ったときのことです。

学生全員、八戸を訪れるのは初めて。山形よりはるか北ですから、みんなうすら寒い港町というイメージしかもっていなかったようです。

それで、ロケハン終了後、感想を聞くと、全員が口をそろえて、「八戸って外国みたい!」と意外な答え。理由を尋ねると、「飲み屋街が夜中でも人がいっぱい!」「漁村かと思ったけど、大きな工場がたくさんあって、夜はSFっぽい。」「八戸の人がオープンで、すぐに話しかけてくるし!」「フランスみたいな美しい海岸にびっくり!」などなど。

八戸を知っている私には、そうだろうなと思いましたが、はじめての人にはそう映るのか、と新たな発見となりました。

折しも、八戸は昨年(2017年)が市制88周年。8は、八戸のキーワードでもある。寝かせて、∞にすると、無限に自由な場所。というわけで、まずは3本のティーザーフィルムを制作しました。テーマはもちろん、「88異国・八戸」。

1本目は、横丁文化。戦後、引揚者のためのマーケットから始まり、映画館をはじめたくさんの「飲んべい文化街」へと発展しました。元々、港町だったので陸へ上がったら一目散に居酒屋へ、が漁師の性分。これは当然の成り行きです。そして60年代には、漁業のピークだったこともあり、ネオン・提灯(ちょうちん)ピカピカの一大不夜城にまで上りつめたのです。

いまは当時ほどではありませんが、それでも、ビギナーのための屋台村・みろく横丁をはじめ、ハーモニカ横丁、たぬき横丁、れんさ街、花小路などディープな昭和が健在。酒好きには、たまらない場所です。

この飲み屋街が、なぜ異国?そうです、アジアの飲み屋街はなんだか空気感が共通している。ちょっと視点を変えれば、そこは香港の路地裏に変身。

で、こちらはギャングに追われる香港ムービー風の仕上げとなりました。見た方は間違いなく、あの路地で一杯やりたいなあと思われるはず。では、ご覧あれ。

2本目は、なんちゃってフランスのラブロマンス映画。そこは、国立公園にもなっている種差海岸。海からすぐに野芝が広がり、松並木の遊歩道が続く。日本には珍しい南仏のような美しい海辺です。

作家の司馬遼太郎が「どこかの天体から人がきて地球の美しさを教えてやらねばならないはめになったとき、一番にこの種差海岸に案内してやろうとおもったりした。」と書いています。すごい褒め言葉ですが、ここを訪れた人は、皆とりこになってしまう。画家・東山魁夷の「道」も、種差海岸がモチーフ。鳥瞰図絵師・吉田初三郎は、住みこんでしまうほどの気に入りようでした。

ここなら、会話下手でも大丈夫。美しさが、恋をひらかせてくれるに違いありません。

さてさて、ロマンスの行方はいかに。

ティーザーフィルム3本目は、アメリカをおいて他にはないでしょう。

八戸市は、1961年に新産業都市に指定。製紙業、非鉄金属工業などの工場が立ち並ぶ、北東北を代表する工業都市。巨大な岸壁をもちクレーンが立ち並ぶ港湾施設や、東北最大級の穀物ターミナル、東北各地に天然ガスを供給するためのLNGターミナル、夜も眠らず稼動し続ける製錬所などがすごい景観をつくり出しています。

漁業の町と共存しながら、恵まれた立地と地下資源をいかしている不思議な東北です。まるでハリウッドが垂涎(すいぜん)するようなロケ地と言ってもいいでしょう。

というわけで、UFOでも飛来しそうなSFムービーができあがりました。本家も真っ青のできばえ? 3本とも、中国語、フランス語、英語で制作。字幕付きですのでご安心を。

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