生きるチカラの強い女性へ

処方箋12 美しくあるために、体重計には乗らない

文:ひきた よしあき / 写真:カンパネラ編集部/ 撮影協力:Mancy's Tokyo 05.24.2018

仕事一辺倒でキャリアを重ねるのはもう古い? それよりも大切な家族と一緒に豊かな時間を過ごし、人生を謳歌する女性が少しずつ増えています。名スピーチライター・ひきたよしあきさんが、スマートで力強い女性たちに会い、その魅力を探ります。第12回は、「美しい!」ボディメイキングを指導する村山里美さんです。

「きれいでいたいなら、体重計には乗らないこと。体重のちょっとした増減で一喜一憂しないことです」

「ミス・アース・ジャパン日本大会」「ミス・ユニバース・ジャパン大会」などでボデイメイキングの講師を務め、自らも「ミセス日本グランプリ50代」でファイナリストとなった村山里美さん。

多くのミューズを育ててきた村山さんなら、500グラム単位で体重を厳しくコントロールされているのだろうと勝手に思っていた。それが、「体重計には乗らない」というのだから驚きだ。

「戒めパンツ」

「食事や運動で必死にダイエットするでしょ。それなのに体重計に乗ったら、思ったように痩せていない。そこで落ち込んだり、自暴自棄になるのがよくないんです。美しい体は、数字で作るものではありません」

「では、何を基準にするのですか?」
と尋ねて見たら、大きな瞳を私に向けて一言。

「戒めになるようなスリムなパンツです」

ミスコンテストのために指導する村山里美さん(写真提供:「2017ミス・アース・ジャパン栃木大会」)

村山さんは理想の体型ならはけるスリムなジーンズを「戒めパンツ」として持っている。

「定期的にこれを履いてみて、きつくなっていたら体重を落とす。はけるならよしとする。数字の体重ではなく、理想の体型で管理した方が女性は美しくいられるのです」

「あなた、その体型で起業するのですか?」

そもそも村山さんがボディコンサルの仕事をはじめたのはインターネットと深く関係をしている。

まだSNS(ソーシャルネットワーク)がなかった時代から村山さんは起業する人たちに ホームページや名刺のデザインを指導していた。SNSの時代に入ると、Facebookで気軽に起業を考える女性が大勢彼女を訪ねるようになった。

「ちょうど私が、ミセス日本グランプリで美しくあるためにはどうあるべきかを考えていた時代です。そこにまるでスーパーに買い物でも行くような服装とヘアスタイルのままの写真を載せて、起業したいという人がくるわけです。

『あなた、その体型で起業するのですか?』

すこしきついですが、こう言って自分の甘さに気づいてもらいました」

村山さんのコンサルは、生まれた時の体重、身長とご両親の体型を聞くところから始まる。さらには現在の家庭環境を聞く。遺伝的な要素は仕方がない。また現在、家に育ち盛りのお子さんがいる中でのダイエットは難しい。遺伝や現状の環境を知った上で、「美しい!」と言われるようになるボディメイキングを始める。

写真提供:「2017ミス・アース・ジャパン栃木大会」)

「大切なことは、人から『きれいだね』と、ひとこと言ってもらえるようになることなんです。普段の生活で、30代から50代の女が、『きれいだ』なんて言ってもらえる機会は本当に少ない。だからこそ、誰かに一言言ってもらうと、嬉しくてもっときれいになりたいと思う。女の美しさに対する執念はすごいものがあります。そこにスイッチを入れるんです」

「女はただやせるだけじゃだめ」

なるほど、こうしてウェスト55センチの体型を保つのか、と、納得していると、

「ひきたさん、女はただやせるだけじゃだめ。数字の55センチではなく、きれいなくびれのためには、一度太って、そこから贅肉を落とさなければいけません。そうしないと女らしいラインにならないんですよ」

と女性の美しさを保つ秘訣をまた教えてくれた。

誰もがSNSにプロフィールを載せる時代。公私の垣根が低くなり、日常のスナップ写真が世界中へと拡散される世の中。

村山里美さんに多くの時代が惹きつけられるのは、この時代の要請でもあるのだろう。

家に帰って私も10年前に作ったスーツを出した。「戒めスーツ」にしようと思ってはいてみたが、スボンのボタンはどうにも締まらない。

明日から習った通り、朝いっぱいの白湯を飲むことからボディメイクをはじめてみようと思った。

ひきた よしあき
1960年兵庫県西宮市生まれ。早稲田大学法学部卒業。博報堂クリエイティブプロデューサー、スピーチライター。学生時代から第8次「早稲田文学」学生編集委員、NHK「クイズ面白ゼミナール」のクイズ制作などで活躍。84年(株)博報堂入社。クリエイティブディレクターとして数々のCM作品を手がける。また、明治大学をはじめ多くの大学で講師を務める。15年、朝日小学生新聞でコラム「大勢の中のあなたへ」、コラム「机の前に貼る一行」を連載。著書に『あなたは言葉でできている』(実業之日本社)、『ゆっくり前へ ことばの玩具箱』(京都書房)がある。