なぜあなたの酒場には客が来ないのか?

広島・あなたの酒場の定番は、「がんす」でがんす

文/写真:須田 泰成 02.16.2017

地方を呑み歩いていると、時として素敵な「あなたの酒場」と巡り合う。広島の立ち飲み風居酒屋「ドラ☆キチ」は、「がんす」という地元名物と、キャラクターの「がんす娘。」を最大限に活用。さらにはジモティーと観光客を巻き込む策で店を盛り上げている。

本コラムでは前々回の記事「よみがえれ『限界酒場』 復活のカギは若手と都会の客」において、団塊世代の顧客の高齢化とともに衰退する全国の酒場と、再生の可能性について実例を紹介した。

若者の人口流出が続く地方では、若い世代や女性を含めた客が集まり、楽しく飲めて出会いもある「あなたの酒場」を成立させることは難しい。

しかし、全国を呑み歩いていると、時として意外なほどに素敵な「あなたの酒場」と巡りあうこともある。

今回ご紹介するのは、瀬戸内海に面した広島のJR広島駅から徒歩5分という居酒屋「ドラ☆キチ」。夕方4時から深夜0時まで営業する、立ち呑みスタイルのお店である。

広島駅の西側、通称「エキニシ」エリアにある居酒屋「ドラ☆キチ」。古い昭和の街にポツポツ魅力的な飲食店が並ぶ

ドラ☆キチがあるのは、広島東郵便局の裏手にある通称「エキニシ」エリア。古い木造の飲食店が並ぶ新宿ゴールデン街に似た通りが、碁盤の目のように続く。

「数年前からお店の世代交代が始まって、すっかり若い人や女性も気軽に楽しめるエリアになりました。狭いエリアに個性的なお店が集まっているのがいいんです」と語るのは、今回ガイド役を引き受けてくれたYさん。かれこれ30年も広島市内を飲み歩く、情報通の女性である。

夕方17時過ぎ、Yさんに連れられて入ったドラ☆キチは、洒落たつくりの立ち飲み酒場だった。地元球団・広島カープを思わせる赤を貴重とした店のつくり。ぬくもりのある厚い木のL字型のカウンター。ビール、ハイボール、サワー類、焼酎、日本酒など、ドリンクの品ぞろえは多い。刺身、焼きもの、揚げ物、鍋など、コンパクトな厨房にも関わらず、おツマミのバリエーションも多い。うれしいのは、全ての値段がお手頃なところ。

とりあえず、びんビールを頼み、乾杯!

Yさんが、「広島に来たらまずこれでしょう!」と注文した揚げたてのツマミが目の前に置かれた。写真をご覧いただきたい。

広島のご当地グルメがんす。ハムカツのように見えるが、果たして、その正体は?

立ち飲み居酒屋におけるツマミの定番といえばハムカツ。こう思い込んでいる筆者が、「ハムカツですよね?」と言うと、「違います。がんすです」という答えがカウンターの内側から返ってきた。

「がんすって何なんだ? 分厚いハムカツにしか見えないが」

まずは、食べてみることにした。

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