女子と餃子とお酒

東京・代々木「御天」──とんこつラーメンの名店で食す極上の博多鉄鍋餃子

文:カンパネラ編集部 / 写真:福知 彰子 11.06.2017

最近の餃子ブームをしっかりとつかんでいる「餃子女子」たちに贈る第2弾。それは餃子通が推す、鉄鍋餃子を売りにした代々木の「御天(ごてん)」。ノスタルジックな店内には時間が緩やかに流れ、おひとり様でも温かく迎えてくれる雰囲気が漂っている。

中国北部発祥の餃子が日本にやって来て日本流のスタイルに発展した話は前回(東京・赤坂「GYOZA IT.」──餃子にはやっぱり“泡系”のお酒 気分は南仏リゾートレストラン)にお伝えしたばかりだが、国内の様々な地域で独自の餃子文化が花開いている。

いい例が、九州・博多の鉄鍋餃子だ。

小ぶりの餃子を丸い鉄鍋皿にぎっしりと並べて焼き、そのまま出す独特のスタイルは、最初に始めた中国料理店主の親族が、東京・銀座の喫茶店で見かけた鉄板にのったスパゲッティナポリタンからインスピレーションを得たものという。

鉄鍋皿で供される餃子は、冷めにくく、最後の一個までアツアツの状態でいただける。酢醬油に柚子(ゆず)コショウというご当地テイストのタレや、ひと口サイズで食べやすいところが、餃子女子からも熱烈な支持を集めている。

バンド活動と“二足のわらじ”を楽しむ店主

この鉄鍋餃子、もちろん都内でも味わうことができる。最近は鉄鍋餃子を売りにした居酒屋が増えているが、餃子通が推すのは代々木の「御天(ごてん)」。

店名を聞いて「もしかして……」と思った方もいることだろう。そう、御天は博多とんこつラーメンの世界でも知る人ぞ知る名店なのだ。

杉並区井草の本店からのれん分けして現在の地にオープンしたのが2000年。当時は一スタッフとして参加していた現代表の小林滋さんが、5年前に前の店主から店を譲り受けた。

王道のラーメン(730円)は濃厚なとんこつスープと、九州から取り寄せている超極細麺のバランスが絶妙

小林さんはプロのミュージシャンでもある。伝説のハードコアパンクバンド「GASTUNK」のドラマーとして鳴らし、現在も「DOOM」などのバンド活動を中心に活躍中だ。一方、御天では2人のスタッフを率い、自ら厨房に立つなど“二足のわらじ”を楽しんでいる。

夜営業の客には、そんな小林さんを慕う音楽仲間や業界関係者も少なくない。

「ですから、夜は完全に居酒屋状態になってしまうことが多い。満席の時にラーメンを食べにいらしたお客さんが、『僕、ここでいいです』と言ってカウンターで立ち食い蕎麦みたいにラーメンをすすって、すぐにお帰りになったこともありました」

タレなしのあっさりした味わいは「餃子女子」好み

黒豚の肉をぜいたくに使った餃子は、代々木の御天がオープンして数年後からサイドメニューとして出すようになった。現在は鉄鍋餃子(小20個入り2人前990円、同30個入り3人前1450円)のほか、黒豚焼き餃子(6個500円)、黒豚水餃子(6個500円)を扱う。

一番人気の鉄鍋餃子に使われるのは、すき焼き用の直径20センチの鉄鍋。「1個1個が小さいから、女性でも20個くらいはぺろりと食べてしまう」(小林さん)と聞き、2人で30個入りをオーダーした。鉄鍋を埋め尽くした餃子が、ジュ〜ジュ〜とおいしそうな音を立てて運ばれてくる。

中央からよく焼けた餃子を一つ取って、まずは何もつけずに口の中に放り込んだ。ムムッ、ちょっと熱い。とはいえカリッとした皮の食感が心地よく、野菜がたっぷり入ったあんはしっとりとして、タレなしでも野菜の甘みだけで十分おいしい。あっさりした味わいは「餃子女子」好みだ。