インタビュー 情熱と挑戦の先に

「今は、自分自身を見直す時間の真っただ中にいます」──女子プロゴルファー・馬場ゆかり

馬場ゆかり 女子プロゴルファー(前編)

文:十代目 萬屋五兵衛 / 写真:山田 大輔 / 取材協力:森永高滝カントリー倶楽部 01.16.2018

身長149cmと小さい身体ながら、安定したショットを見せる実力派女子プロゴルファー・馬場ゆかり。トップアスリートとしてひた走る馬場だが、トーナメント出場に加えてゴルフの魅力を一般に伝える活動も展開する。若きアスリートの新しい挑戦を通して、人が今と未来をより良く生きるための視点を探る。(前編、敬称略)

生涯スポーツの代表格と称されるゴルフ。700年以上の長い歴史と伝統に支えられ、世界100カ国以上で行われている人気のスポーツだ。

ただ日本では「何かとお金がかかるし、ルールやマナーが厳しい」というイメージを持っている人も多いのではないだろうか。

しかし、そんなイメージは過去のものになりつつある。世界ランクのトップで活躍した宮里藍(2017年度で引退を発表)や、松山英樹に代表される若手プロゴルファーたちの活躍で、今ゴルフには新しい風が吹き始めているからだ。また2016年のリオデジャネイロ五輪で112年ぶりに競技として復活したことも、理由の一つに挙げられる。

「老若男女、年齢も問われないし、体力、技量などに応じて自分のペースで楽しめるスポーツです。ハンディキャップの制度を利用すれば、力の差や経験に問われずに、公平に気軽に勝敗を楽しむことができるんですよ」

こう満面の笑顔で応えるのは、女子プロゴルファーの馬場ゆかりである。

馬場は2011年に日本女子オープンゴルフ選手権を制覇し、日本女子ゴルフの歴史の中にも名前を刻んだ実力派だ。世界の主な女子ゴルフのメジャー大会にも参戦した経験を持つ、日本でもトップを走るプロゴルファーの1人である。「ツアー1小柄な実力者」とも呼ばれ、149cmの小さい身体ながらダイナミックなプレーで多くのファンを魅了してきた。

2011年日本女子オープン(写真提供:馬場ゆかり氏)

そんな馬場は、約2年前に右手首を痛めた。結果、2014年まで11年連続で出場し続けてきた、賞金ツアーの第一線から離脱せざるを得なくなった。

「特に、大けがをしたことはありません。あったとしても、トレーニングでひねって痛めたことくらいです。そんな時でも、ケガの功名なのでしょうか。無理をしないでスウィングすることで、結果的に好成績を出すことだってあったんですから(笑)。

だけど、2年前の時はなぜか元に戻らず、自由に手が動かない状況が続きました。どのショットで痛めたのかもわからないし、きっと今まで蓄積してきたものが、発症してしまったのだと思いますが」

仕方がないことかもしれないが、アスリートにケガはつきものだ。そのケガがわずかな変化に止まったとしても、プロにとっては大きく運命を狂わせることにもなる。プロゴルファーにとっての第一線と言われているツアー競技から離れることは、馬場のようなトップアスリートとしては特につらいはずだ。

しかし、馬場はいたって元気で明るい。その理由を「自分自身を見直す時間の真っただ中にいるから」と笑顔で話す。

「試合以外でも、ゴルフにおける私の新しい役目が見えてきました。確かに、ツアーで毎週のように全国を転戦していた時と今は違います。でも、少ない試合数でも出場したら優勝を狙いますよ。そのために、練習やトレーニングはしていますから。ゴルフを始めた頃は、嫌で仕方がなかったんですけどね(笑)」

1人の女子プロゴルファーの新しい挑戦を通して、人が未来をより良く生きるための視点を探る。