ミッドナイト・インタビュー

世界にへこみを作りたくて メルカリ山田進太郎氏・後編

聞き手:カンパネラ編集部 / 文:西本 美沙 / 写真:陶山 勉 03.13.2017

お酒を酌み交わしながら、注目企業の社長に迫る本コラム。今夜登場するのは、メルカリ社長の山田進太郎氏。フリマアプリで飛ぶ鳥を落とす勢いの同社。経営の裏話、そして山田氏ならではのビジネスの着眼点を、グラスを傾けつつ聞いた。(後編)

(前編はこちら

――メルカリはすごい勢いで米国に進出していますよね。メルカリって専用ページや取り置きなど、利用者間で自然発生的に生まれた独特のルールがありますよね。利用者が文化を作り上げています。米国でも独自ルールってあるんですか?

山田:日本に比べると少ないですね。米国人の方がルール通りに使っています。ただ返品が多い文化なので、出品者に返品は受け付けてもらうようにしていますね。

明快なコンセプトがあれば世界でも通用する

山田:日本では、メルカリの公式ルールとは異なるユーザー間での「独自ルール」が生まれていて、例えばコメントで価格交渉が成立したら相手専用の出品ページを作るような文化がある。でもそれはグローバルスタンダードじゃない。米国人的な考え方をすると、値下げしてください、専用にしてくださいというのはあまり理解できないみたいです。市場で高く買ってくれる人に売りたいんですよね。

ただ、そういったものを除けば思ったより日本と趣向は違わないですよ。Facebook、Google、Amazonだって、米国のサービスですが日本でも受け入れられている。だから逆に言えば日本でこれだけ受け入れられれば米国でも使われない理由はないと思ってます。

――そこまで米国にこだわる理由は何ですか?

山田:やっぱり過去の例を見ても、世界の縮図である米国で成功できたインターネットサービスが、世界中で使われる可能性が高い。米国で受け入れられずに、それ以外のすべての国で使われているサービスって無いですよね。

じゃあ、どうやれば米国に受け入れられるかというと、まずは、言葉すらなくても、万人(ばんにん)が理解できる、すごく分かりやすいコンセプトが必要なんですよね。実際、FacebookやInstagram、Googleも説明書なんてありません。もはや文字すらほとんど無くて、何となく使っていれば使えるし、そうでなければ世界には広がらない。

メルカリは、まだ多少難しい点があります。簡略化して、ちゃんとコンセプトを理解してもらうというところでは、まだ複雑さが抜け切れていないんです。

とにかく世界でやるんだ!から始まった

――米国進出はIT業界の先人たちも挑戦しましたが、なかなか難しい。

山田:僕ら自身もチャレンジャーだと思っているし、成功できるかできないかの瀬戸際に立っています。ただ何とかして成功しなければと思っています。

そもそも日本から海外にチャレンジしている会社が少ない。スタートアップ企業でも海外で成功する会社が出てきても全然おかしくない。そこまで大差があるとは思っていないんです。いいものを作り、ちゃんと海外で提供すれば、海外でも必ず使ってもらえると思います。

とはいえ、確かに米国は一筋縄ではいきません。実際に現地での人材採用にしても、いい人と出会い、ましてや採用に至るのはとても難しい。

米国でなくても、東南アジアのマーケットをすべて取れれば十分だというのも極めて合理的な考え方です。もっと現実的に考えれば、日本国内で関連サービスを展開した方が、成功する確率は高いかもしれない。

でも、メルカリは「とにかく世界でやるんだ!」というところから始まり、会社のミッション「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」にもなっています。世界に出なかったら、そもそも会社が存続する意味が無い。ある意味、投資家を含めて、世界を目指すということで合意を取って、そのために資金を調達しているので、社内外含めて関係者は一丸となっています。

――資金は出すから世界で勝てと言われている……?

山田:そうですね。社員もそれ前提で入社してきているので、米国で成功するまで挑戦し続けるっていうことだろうなと思っています。

それに米国を目指すっていうのは、ある種、ロマンの世界みたいなものがあるんです。会社ってバーチャルな集団であり、組織であるわけで、うちの会社の場合は、その幻想をつないでいるものが米国での成功。すべてがひもづいているんですよね。

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