ミッドナイト・インタビュー

ちゃんと議論しないと、会社はおかしくなる マネーフォワード辻庸介社長・後編

聞き手:カンパネラ編集部 / 文:西本 美沙 / 写真:的野 弘路 05.29.2017

おいしいお酒を酌み交わしながら、注目企業の社長の本音に迫る「ミッドナイト・インタビュー」。今夜はマネーフォワード社長の辻庸介氏です。「マネーフォワード」は、2012年に誰でも簡単に自動で家計簿が付けられるサービスとしてスタート。現在、利用者は500万人を超えています。また、企業向けのクラウド会計サービスの「MFクラウドシリーズ」も提供。金融機関との提携も積極的に進めています。

辻氏は大学卒業後、ソニー株式会社に入社。その後、マネックス証券にてマーケティング部長を歴任し、2012年に6人でマネーフォワードを設立しました。

前編では、創業時の苦労や、ベンチャーならではといえるマネジメントのポイントなど、生々しくて興味深いエピソードがたくさん飛び出してきました。後半ではさらに、辻氏の素顔に迫ります。

前編からの続き)

人の可能性を信じる会社でありたい

― 辻さんの周りには人が集まってくるイメージがあります。敵を作らないというか愛されキャラですよね?

辻:そんなことはないですよ。人によって態度を変えないので、結構、相手が誰だろうと言うことは絶対に言おうと思っています。もちろん言い方は丁寧になりますけど。だから愛されキャラかは、分からないですね。(同席している秘書に)どうですかね?

秘書の田中さん:すごく「ありがとう」が上手です。小手先のありがとうではなく、本当にありがとうって思ってもらえているというのが伝わってくるんです。だから、一言のありがとうでも、辻さんのためにみんな「しょうがない、頑張ってやろうかな」って感じになっちゃいますね。

― べた褒め過ぎて気持ち悪いので、ご自身で弱点はどこだと思いますか?

辻:経営判断として必要なときに、情に流されずに意思決定ができるどうかが不安ですね。例えば人をどうしても減らさないと会社がつぶれてしまう、といった意思決定をどうしても迫られた時に、その決断ができるかについては、自信がないです。

僕がこうありたいと思うのは、人の可能性を信じる会社になりたいんですよね。人の可能性は無限大です。やらされ仕事ってつまらないけど、やりたい仕事ならすごいやる気を出して「お前、別人じゃねえか!」ってなる人もいる。

自分の意志決定は100%じゃないことが前提なので、現場に委ねることもあります。自分の意志決定のほうが成功確率的に高いかどうかだけで、結果が良ければいいんです。現場にいる人にしか感じないものもありますよね。でもそれも結果が出なければアウトです。僕は、それが意思決定をする人の責任だと思っていて、意思決定をするというのは、それだけの責任があり、それを分かった上で意思決定をしていると思っています。

だから、いろいろ社内で議論がある時も、絶対にこうだと思うことは言うようにしています。でも、僕が言ってもみんなバーーーって返してきますからね。議論をちゃんとしています。そうしないと会社っておかしくなってくるんです。

100人中49人いる反対派をひっくり返せるか

― 辻さんが尊敬する経営者って誰ですか?

辻:経営者は結果がすべてなので、長期間結果を出している人がやっぱりすごいなと思います。お会いしたことはないですが、宅急便をつくったヤマト運輸元会長の小倉昌男さんや、ソニー創業者の盛田昭夫さん、日本電産創業者の永守重信さん、ソフトバンク創業者の孫正義さん。最近だとエムスリー代表取締役の谷村格さんもすごいですよね。

創業者が多いんですけど、やっぱり創業者って強いと思うところがあります。組織論になりますが、大きな変革の際に51対49の難しい意思決定があったとします。その時に、社長が「51だ」と言ったら、49の反対派が「あの人が言うなら仕方ない」ということで100になるか、それとも反対派がそのままの状態にとどまるか。会社としてその違いは大きいですよね。

マネックス証券社長の松本大さんはまさにそうで、松本さんが51だと言うと松本さんが言うからから仕方ないと100になるんです。もちろん創業者だからいいというわけではないですが、この力を持っている人はすごいですよね。

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