フードブリッジ0141

農産物のゴミが、夢に変わった!「肉屋のオヤジ」後日談

文:秋元 しほん 04.11.2017

「肉屋のオヤジ」こと静岡県浜松市三ヶ日町の中村健二氏。中村氏が開発した「三ヶ日みかんピューレ」は生鮮食品初の「機能性表示食品」に認定された。いっそう広がる「肉屋のオヤジ」の夢と、夢を共にする仲間たちの活動を追う。

「肉屋のオヤジ」こと静岡県浜松市三ヶ日町の中村健二氏。以前(2015年2月)、このコーナーで紹介した、廃棄されてしまう未食の三ヶ日みかんをピューレ化(液状)し、加工品としての用途を広げた人物だ。食肉業務用卸事業を手がけるフードランドの代表取締役である(以前の記事「当たり前の三ヶ日みかん、『肉屋のオヤジ』の手で大変身!」はこちら)。

あれから1年。「ゴミになってしまう三ヶ日みかんの皮がもったいない」から始まった「三ヶ日みかんピューレ」が、次の段階へと突入した。

ここで復習をしたい。三ヶ日町は、愛媛県の愛媛みかん、和歌山県の有田みかんと並ぶトップクラスのみかん産地だ。年平均気温約16度、温暖で日照量が多く、みかん栽培に適している。三ヶ日町の住人の多くがみかん生産に関わっている農家である。

ブランドみかんの一つに数えられる三ヶ日みかんだが、栽培されたすべてのみかんが消費されるわけではない。選果場で基準に達せず、市場に出せない「未食みかん」が残る。

未食みかんは、ジュースや缶詰などの加工品として姿を変える場合もあるが、大半は販売不適合品として扱われ、世に出ることはない。

その未食みかんに着目したのが中村氏。「未食みかんを皮ごと活用して、三ヶ日町も元気にしていくことはできないか」と考えた中村氏が手がけたのが、三ヶ日みかんピューレである。

みかんピューレの特徴は、低温加熱殺菌でみかんを殺菌し、皮のまま液状化させること。ビタミンが破壊されない上に、加工品に幅広く使える調味液として汎用性が上がった。

また味と風味のよさもポイントである。みかんの皮に多く含まれる天然の香気成分(精油分)がそのまま液化抽出されているため、果汁などにはない、苦みを中心とした特徴的な風味が出る。これによって、他の材料の味や香りに負けることがない調味液に仕上がっているのだ。

生鮮食品初の「機能性表示食品」に認定

三ヶ日みかんピューレ。主に業務用に提供されている

2015年4月、これまで食品に表示されていた「特定保健用食品(トクホ)」、「栄養機能食品」とは別に「機能性表示食品」という新しい食品の表示制度が施行された。機能性表示食品とは、食品の機能性をより分かりやすく表示し、消費者が正しい情報を得て商品を選びやすくするために設けられた表示制度だ。

その約半年後に当たる2015年9月、三ヶ日みかんが、生鮮食品としては初の「機能性表示食品」に認められた。その機能性は、三ヶ日みかんに含まれる「β(ベータ)クリプトキサンチン」が骨粗しょう症予防に効果がある、というものだ。

実際、2003年から三ヶ日町の住民を対象に調査をしたところ、みかんをよく食べる人は、あまり食べない人より骨粗しょう症になる率が低いというデータが得られている。βクリプトキサンチンが骨の代謝を助け、骨の健康に役立つという見解だ。

骨粗しょう症は骨の中がスカスカになり、骨の強度が低下することで骨折のリスクが増大しやすくなる状態(症状)のことを指す。国内の患者数は1280万人と推定され、特に50代以上の女性に多く見られるという。

50代以上の女性の約4人に1人は骨粗しょう症及び骨粗しょう症予備軍となり、中高年にとっては予防したい生活習慣病のひとつであろう。その予防に、三ヶ日みかんは効果があると認められたのだ。一時期、みかんは骨粗しょう症を予防する食品として新聞や雑誌、テレビなどでも紹介され、三ヶ日みかん農家の追い風にもなった。

家飲み酒とも日記