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北海道のエゾジカ狩りに同行し、本物のジビエを食べてきた

文/写真:カンパネラ編集部 02.09.2017

「エゾジカとは偶然出会うものじゃないんです」。北海道のプロハンターによる狩猟を間近で見た。そのうえ、エゾジカ肉の加工販売業者による本物のジビエも食してきた。その味わいは、まさに大地のエネルギーの塊だった。

「北海道にエゾジカの狩猟を見に行きませんか?」

友人に誘われ、昨年末、北海道は北見市に出かけることになった。エゾジカの狩猟から解体、加工を見学し、そして本物のジビエ(gibier)料理を味わってみてほしいというのだ。

ジビエは狩猟によって捕獲した野生鳥獣の肉のこと。越冬に備えて脂肪を蓄えているため、美味しい季節は冬だ。最近、東京都内でもジビエ料理を出す店が増えているので興味があった。また偶然にも最近、山に関する本を読みあさっていた。『サバイバル登山入門』(デコ) 『山賊ダイヤリー』(講談社)『マタギ 矛盾なき労働と食文化 』(エイ出版社)などが面白かった。そこでハンターたちをこの目で見てみたいと思っていたのだ。

訪ねたのはエゾジカ肉の加工販売業「porowacca(ポロワッカ)」。社長の林徹さん(42歳)が、今回の旅を案内してくれた。ポロワッカでは厳選したシカを仕入れ、さらに熟成させたお肉を販売している。現在、東京の高級レストランを中心に卸しているほか、個人でもネットで購入できる。

東京から北海道の北見へ

林さんは東京都出身だ。都内で看護師として働いていた。子どもが生まれるのを機に、妻・絵美さんの実家がある北見市に2012年に移住した。自然豊かな道東の地で暮らす中、山の恵みで生活するハンターに興味を持った林さん自身も生活狩猟免許を取得し、エゾジカの美味しさを知った。日本にいるシカ(シュヴルイユ)には、北海道のエゾジカ、本州の本州鹿、九州の九州鹿など7種類の亜種があるらしいが、蝦夷鹿はどの種類よりも大きい。そして脂が多く肉の味も濃いのが特徴だ。

「エゾジカ肉の最大の特徴は栄養価が高いことなんです。鉄分がとても豊富で、100g中に6.0mg含まれています。これは、鉄分が多いとされる食品(カツオ、クロマグロ、和牛など)を大きく上回る数値。その一方で、脂質は牛肉や豚肉に比べ極めて低い。低カロリーで高タンパク、ミネラル豊富であるとともに、魚に多く含まれるDHCもあります。もっともっと評価されるべき食材なんです」

ポロワッカ社長の林徹さん(左)と奥さんの絵美さん

ところが、北海道内でも食材として利用はあまり進んでない。それだけではなくシカは「害獣」になった。エゾジカの増加による北海道での農林業被害額は56億円(平成25年度)を超える。森林でも樹皮を食べられて樹木が枯れるなどの影響が出ている。交通事故などの被害も後を絶たない。人間の生活、エゾジカの生態系の保全・管理のためにも、年間で14万頭は駆除しなければならない。このまま放置すれば、自然も人間の暮らしも基盤から崩壊してしまう。

悩ましいのは駆除されたシカの大半はそのまま捨てられていることだ。「でも、丁寧に処理して美味しいお肉として流通するようになれば、地方自治体が支払っている廃棄料金を支払う必要がなくなります。新しいサイクルをつくるためにも、食材としての魅力を皆さんに知らせたいんです」

家飲み酒とも日記