特集

最高の塩おにぎりは、軟水で炊き、水塩スプレーで握る

行楽の季節を盛り上げる米と塩のマリアージュ:前編

文:須田 泰成 / 写真:栗栖 誠紀 11.05.2015

新米と行楽の秋。青空の下で食べるおにぎりは最高だ。一般社団法人おにぎり協会における塩の担当、また日本ソルトコーディネーター協会の代表を務め、おいしい塩おにぎりを追求している青山志穂さんの話を聞いた。

炊きたてのご飯を塩おにぎりにしてかぶりつく幸せ。新米が穫れる秋は、行楽の季節でもあり、おにぎりの季節でもある。ごはんと塩、海苔(のり)のシンプルな組み合わせが基本だが、ちょっとしたコツを押さえるだけで、格段に塩おにぎりが美味になる。一般社団法人おにぎり協会で塩を担当し、日本ソルトコーディネーター協会の代表理事・青山志穂さんに、簡単にできる塩おにぎり術をうかがった。前編・後編の2部構成でお送りする。(聞き手・構成は須田康成)

一般社団法人おにぎり協会で塩の担当をし、また日本ソルトコーディネーター協会の代表理事でもある青山志穂さん

お米は軟水で炊くとふっくら仕上がる

おにぎりを作る時、まずは、米を選ぶところからですよね。原宿にある創業80年を超える小池精米店の三代目で、お米マイスター五ツ星でもある小池理雄さんに聞いたのですが、どんなお米でも、粒がそろっていて、精米してから時間が経っていない鮮度のよいものを選ぶのがオススメだそうです。なので、案外、昔ながらの街のお米屋さんに通ってみると良いかもしれませんね。

お米を炊く際に気をつけたいのが、水です。水道水とミネラルウォーター(または浄水器を通した水)で米を炊き比べると、明らかに炊きあがりの味やふくらみが変わります。

また、ミネラルウォーターでも硬水は米粒を堅くするので、あまりオススメしません。ミネラルウォーターの成分表示の欄には、水の硬度が表示してあります。硬度というのは、1000ml中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を表す数字なんです。

お米は、おいしい軟水で炊くのがオススメです。

軟水の成分表示の例。硬度のところに「軟水」とある

お米の炊き方ですが、前述の小池さんによると、今の精米機は昔と比べて性能が良くなっていて、ほどよく精米されているので、お米を研ぎすぎないことが大事なんだそうです。5本指のすき間を空け、軽くかき混ぜるようにして洗い、3~4回洗ったら、透明になっていなくてもそれでいいそうです。ポイントは、洗米1回目の水は、手早く捨てること。お米の汚れがまた米の中に戻らないようにするためです。

炊き上がったら、すぐに、しゃもじで切るようにして上下をひっくり返すことが大切です。時々、しゃもじでご飯を練るようにする人がいますが、あれは米粒がつぶれてしまうので絶対にやめてください。

いよいよ、手に塩をつけて握る段階に入ります。一般社団法人おにぎり協会の代表・中村祐介氏によると、おにぎりをおいしく握る極意は、以外にも、握らないことなんです。ふんわりとまとめる程度で、決してぎゅうぎゅうとは握らず、あくまで軽く優しく「まとめる」程度が良いそうです。

それでは、いよいよ塩の使い方についてお話しします。

塩は、水で溶かしてスプレーボトルに入れて使う

手に塩をつけて握るわけですが、塩を変えると、同じお米を使っても、おにぎりの味が変わってきます。お米の甘さを引き出す塩、旨味を引き出す塩、塩の旨味で米を食べさせるような塩、味付きでまるでおかずを一緒に食べているかのような塩など、いろいろあります。

行楽のお弁当も、何種類か違うお塩を使うと、いろんな味の塩おにぎりが楽しめますね。

ところで、おにぎりを握る際の塩の使い方なのですが、実は、3種類の方法があります。

(1)手水+塩
これは、手を水で濡らして塩をつける一般的なやり方ですが、よく見てみると、塩がまばらについてしまいます。そのため味ムラができてしまいがちというデメリットがあります。

(2)塩をごはんに混ぜ込む
酢飯を作る時のように、ごはんに事前に塩を混ぜ込んでしまう方法があります。そうすることで、ごはん全体に塩が行き渡るので、味のムラがなくなります。ただし、切るように上手に混ぜないと、ごはんを練ってしまい、米粒がつぶれてしまう可能性があります。一般の方には少し難しい方法です。

いちばんオススメの方法が、次の(3)です。

(3)水塩を作る
お気に入りの塩を、濃度20%程度になるように水に混ぜて、濃い塩水を作ります。50ccの水に対して10グラムの塩。これを「水塩」と言います。ちなみに本来の水塩とは、海水を煮詰めて濃度20%にしたものなので厳密にいうと異なりますが、ここでは広い意味での水塩ということでご理解ください。

100円ショップに売っているスプレーボトルに詰めて使います。だいたい1プッシュで0.05グラムくらいの塩が出ます。これを、茶わん1杯分のごはんに対して、左右の手のひらに3プッシュずつして手水の代わりにします。こうしてからおにぎりを握ると、ほどよい塩味がまんべんなくおにぎりの表面につきます。

またこの水塩のいいところは、すでに塩が水に溶けているので、塩分量としては少ない量でも、しっかりと塩味を感じられるので、塩分摂取量を減らすことができます。塩は水に溶けて初めて味として受容体に受容されるので、溶けた状態だと味を感じやすいのです。減塩を気にしている方にもオススメの方法です。

それでは最後に、オススメの個性的な塩を紹介しましょう。