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ステマやノンクレジット広告に頼らず、正々堂々、クチコミ集める企業に学ぶ
【特集】揺れるネット広告、今こそPRを見直せ(1)

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  • 2015年8月21日 金曜日
  • 小林 直樹

 鳩に困ったら雨宮~♪。今春、こんなフレーズを連発する1分ほどのYouTube動画が次々とシェアされて話題になった。シロアリなど害虫駆除事業を愛知・岐阜・三重の東海3県で展開する雨宮(名古屋市北区)が、鳩駆除サービスの認知獲得を目的に公開したものだ。

害虫駆除事業の雨宮が公開したYouTube動画。昭和レトロの雰囲気が強烈な印象を残す

 頭に乗った鳩のせいで糞まみれになったスーツ姿のビジネスマンが、釣りや将棋の対局、格闘ゲームなど何の脈絡もない様々な場面に登場しては、冒頭のフレーズが連呼される。そのフレーズが音程をやや外した不協和音で、ひずんだ音声のため、昭和の地方テレビ局CMをイメージさせるレトロ感にあふれている。

 「クセになるww」「シュールだ」「やばい、ぶっ飛んでる」など、公開されるやその異様な内容が大ウケし、公開1週間で再生回数が早々に20万回を突破。8月10日時点で60万回に迫る勢いだ。

 もともとは屋外広告(OOH)を起点とする地元住民向けの認知拡大キャンペーンだった。名古屋の繁華街、栄の街頭に鳩を頭に乗せた糞まみれのビジネスマンのオブジェを設置し、その傍らに配置したボード上のQRコードをスマートフォンから読み取ってもらって特設サイトに誘導。そこにYouTubeへのリンクを張り、動画を見てもらって「ハト害なら雨宮」を刷り込む設計だ。この特設サイトにも1万人以上が訪れ、コーポレートサイトへの訪問者数の増加、問い合わせ件数の増加というビジネス上の成果につながった。

 奇抜なクリエイティブが見事に当たった格好だが、YouTube動画の再生回数が加速度的に伸びた理由として、Webニュースメディアの存在も見逃せない。「web R25」「ねとらぽ」「ロケットニュース24」などが取り上げたことで記事がシェアされ、動画の再生に弾みがついた。

 同様の例はほかにもある。岩手県内で音楽教室を展開する東山堂(岩手県盛岡市)は、娘の結婚披露宴のためにピアノを練習して披露する新婦の父の姿を描いた昨年春公開の動画が話題を呼び、再生回数が300万回を超えた。タイヤ販売のオートウェイ(福岡県苅田町)も2013年の暮れ、冬用タイヤの必要性を啓蒙する目的で配信した動画「雪道コワイ」が、タイトル通り怖すぎたことで拡散し、再生回数は930万回に達した。

 これら地方の中小企業発の動画の拡散に弾みがついたのも、Webニュースの記事化がきっかけだった。コンテンツの魅力でユーザーを引きつけ、シェア・リツイートが連鎖し、この動向をキャッチしたWebニュースが記事化する──。このように「ニュースにする」「話題を起こす」力が、企業にとってこれからますます重要になる。

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