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キリン「moogy」はなぜデザインの常識を破れたのか

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  • 2017年9月7日 木曜日
  • 構成/中村勇介=日経トレンディ

キリンとアスクルとが共同開発したヒット商品の1つが、キリンビバレッジの健康麦茶「moogy」(ムーギー)だ。アスクルの日用雑貨を扱うEC(電子商取引)サイト「LOHACO」専用商品である。この商品のパッケージはコンビニエンスストア向けなどの商品とは、全く違うデザインになっている。イラストベースのパッケージが全部で16種類もあり、キリンのロゴも手描きされている。さらにデザイナーがSNSを活用して情報発信するなど、マーケティング施策もユニークだ。その開発の狙いと、moogyのデザインが生まれた背景などについて、キリンビバレッジのマーケティング部デザイン担当の水上寛子氏、寺島愛子氏、遠藤楓氏に、エステー執行役エグゼクティブ・クリエイティブディレクターの鹿毛康司氏が聞いた。

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エステー執行役の鹿毛康司氏

鹿毛:「moogy」のパッケージを初めて見て、とても前向きにデザインを楽しんでいる様子が浮かぶパッケージだと感じました。自分たちで手を動かしてデザインしたのでしょうか?

寺島:開発の打診を受けた当初、私たちはディレクションを担当し、実制作は外部に依頼することを考えていました。しかしLOHACOが「東京デザインウィーク」に出展するブースに、キリンからも商品を出してほしいと要請を受けことがきっかけで、私たち3人が担当することになりました。

水上:私は「生茶」の担当で、寺島は「世界のKitchenから」、遠藤は「午後の紅茶」の担当。異なるブランドを受け持っているデザイナーが有志で集まって、moogyをデザインすることになったのです。

寺島:ところが担当したはいいものの、開発にかけられる時間がとても少なかった。そこで、3人でデザイン案を2つ考えて当時の社長(前社長の佐藤章氏)に提出したところ、外部に依頼するのではなく、自分たちでデザインを手掛けてみてはどうかと提案されました。

 自分たちで商品コンセプトを考えていたので、これをそのまま外部のデザイナーに渡しても、単にデザインに落とし込むだけの作業になってしまう。また以前から、出来ることなら自分たちでデザインを手掛けてみたいとも思ってもいました。ですから、社長に背中を押されたこともあり、自分たちでデザインを手掛けることへの挑戦を決めました。

鹿毛:商品パッケージを作る時、商品名やウリとなるポイントなど、伝えるメッセージの優先順位を考えることで凝縮したパッケージが出来上がります。今回は自由にデザインをしたそうですが、どのような考え方で進めたのでしょうか?

遠藤:パッケージは普通、消費者に使っていただくことと、既存の売り場で買っていただくことを重視してデザインします。商品名を大きく表示したり、ブランドを立たせたり。しかしmoogyは、ネット通販用の商品なので、パッケージを生活にどう溶け込ませるかを重視して、徹底的に工業製品っぽさを払拭することを目指しました。

手描きの許可を社長に直談判

寺島:飲料は、喉が乾いたら飲み、飲んだら捨ててしまう。お客さんと一緒にいる時間がとても短い、究極の消耗品です。しかし、そんな商品をデザインするために、クリエーターと膨大な時間をかけて作り上げている。そうした仕事であるため、新商品が企画する度に、切なさを感じていました。

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