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取材する前に読者が特集記事を予約購入、台湾メディアが挑む新たな課金モデル
【連載】アジアのデジタルマーケティング(3)

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  • 2017年9月5日 火曜日
  • センシングアジア 代表取締役 松風里栄子

 台湾は中華圏に属しており、ジャーナリズムがポリティクスに左右される。ゆえに、台湾のジャーナリズムの質がお粗末であると考えている台湾人が多いという。客観性に欠けた記事、あるいは、自社なりの視点を持つ編集の少なさなど、ジャーナリズムに対する不満は日本の比ではない。「ストームメディア」(風傳媒)は、そんな台湾ジャーナリズムに疑問を投げかけるべく、「Stay True」をポリシーに張果軍氏によって設立されたオンラインニュースメディアである。

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「Stay True」をポリシーとするオンラインニュースメディア「ストームメディア」(風傳媒)

 設立は2014年とその歴史は長くないが、豊富なコンテンツを武器に既に月間約500万人のユニークユーザー数を獲得し、最も影響力の高いメディアの1つとして急速に勢いを増している。また、2017年4月には中国語の週刊誌「The Journalist」(新新聞)および「Taiwan Indicator Survey Research」(台灣指標民調)を買収し、新興オンラインメディアによる伝統的メディアの買収劇として、話題になった。

 台湾メディアの収益モデルは、基本的には広告収入がベースとなっている。ストームメディアも85%が広告収入で、残りの15%は他社に対する記事の販売だ。しかし、グローバルに広告費の投下先がプリントメディアからオンラインメディアへとシフトし、さらにアドテクノロジーがより効果的で、より効率的なターゲティングと広告露出を可能にする中、台湾メディアも新たな収益モデルへのシフトを模索している。

ペイド・サブスクリプションへとシフト

 もちろんストームメディアも例外ではなく、デジタルマーケティングをテコに、新たな収益モデルの確立を目指している。その1つが、読者が掲載記事を購入する「ペイド・サブスクリプション・モデル」である。厳密には、掲載予定記事を購入予約し、掲載時に支払って読むという仕組みだ。自社の記者や契約ライターは、まず「このようなコンテンツの特集記事を書きたい」という提案を、読者に対して行う。読者が「お金を払ってでも読みたい」となれば、記者は独自取材や調査を開始し、原稿執筆にとりかかる。

 これは、読者とダイレクトな関係を持つことによるエンゲージメント強化策であり、ある意味では「読者がニュースサイトの記事ページを編集している」とも言える。もちろん記者にとって取材や執筆のインセンティブにもなる。

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