投資家や運用機関によって注目するESGのテーマは異なり、見極める必要がある。企業の存在価値や展望、実現の道筋、重要課題を話すことで信頼関係を築ける。

 投資家は企業のどんな課題に関心を持ち、お金を出そうとするのか。投資家や運用機関の思惑を知ることは、企業にとって投資呼び込みに役立つ。そこで先進的にESG投資に取り組む3機関を紹介する。国民の年金を預かるGPIF、セコムの企業年金基金、上智大学の基金の運用だ。いずれもPRIに署名している。

 少子高齢化により、将来、現役世代が払う保険料で多くの高齢者の年金を支える必要がある。年金給付以外のお金を投資に回し、長期的かつ安定的に増やすことがGPIFの使命だ。そこで目を付けたのが、長期的に企業価値向上に取り組む企業の株式に投資してリスクを低減する、ESGに配慮した投資だった。

 『「巨鯨」が動き本格化 57兆円を呼び込む』で説明したように、GPIFは約30兆円分を国内株式への投資に振り向けている。投資先は約2000銘柄。TOPIX(東証株価指数)など複数のインデックスを用いて市場全体に幅広く投資している。

 これらのインデックスはESGに特化しているわけではない。そこで投資先企業とエンゲージメントを行ってESGの取り組みを促すことで、ESGに配慮する投資をしてきた。

■ GPIFのESG投資の動き

 しかし、より直接的にESG投資を行うため新たに乗り出すのがESGインデックスを使う投資だ。既存のESGインデックスに適切なものがなかったため、2016年7〜9月に募集した。募集資料からGPIFが注目するポイントが浮かび上がる。

 パリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)など国際的な動向に対応していること、気候変動やエネルギー効率、水資源や生物多様性への配慮の他、クリーンテクノロジーや再生可能エネルギーなどが並ぶ。女性活躍や従業員の健康、サプライヤーへの配慮、取締役の構成なども挙げた。

■ GPIFの新ESGインデックスの注目ポイント

 27のインデックスの応募があった。現在精査中だ。適したインデックスがあれば複数選び、早ければ2017年3月からインデックスに連動したパッシブ運用を始める。投資規模はいずれ数兆円になる見込みだ。