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EMFリポート

2018年1月17日

「SDGs」の真価(2)経営との統合へ 中期経営計画に組み込む

SDGsを考慮して中期経営計画を策定する動きが目立ってきた。経営層から一般社員まで、意識と行動の変革を促せるかが鍵を握る。

 既存事業とSDGsを関連付ける「マッピング」の段階から次に進んだ企業は、これからどこへ向かうかを決める指針としてSDGsを活用する「経営との統合」を目指している。国内企業4社の事例を見ていこう。

味の素:社会課題を「自分事」に

 「SDGsはマーケットからの要求事項。国連が決めたゴールであり、取り組まない企業は退場を迫られるだろう」。味の素グローバルコミュニケーション部の長谷川泰伸CSRグループ長は言い切る。

 創業以来、事業を通じた社会課題の解決を掲げる同社は、2014年からこの取り組みを「ASV」と称して推進している。いわば、味の素版のCSV(共通価値の創造)である。2017〜2019年度の中期経営計画ではASVを中心に据え、SDGsへの貢献を明確に打ち出した。

 ターゲットにする課題は3つある。「健康なこころとからだ」「食資源」「地球持続性」だ。同社の強みを特に生かせるのが、栄養バランスの改善や、家族や友人などと共に食べる場の増加である。SDGsの目標2「飢餓をゼロに」と目標3「すべての人に健康と福祉を」に貢献するものだ。主力商品のうまみ調味料や風味調味料、冷凍食品、スープなどの売り上げ拡大にもつながる。

■ 味の素は「財務」と「非財務」の目標を統合した
味の素は2020年度までの目標を「財務」と「非財務」の両面から設定した。SDGsに関わる非財務については3つを柱に掲げる
[クリックすると拡大した画像が開きます]

 例えば、栄養バランスの良いメニューを商品パッケージやウェブサイトで紹介し、そのレシピに同社の調味料などを入れておく。テレビCMでは、家族や友人がテーブルを囲んで、同社の製品を使った料理をおいしそうに食べる様子を見せる。ホイコーローやギョーザを取り合いながらほおばるシーンをテレビで見た覚えがある人も多いだろう。

 長谷川グループ長は、「一人より大勢で食べた方が楽しく、料理もおいしく感じる。心の健康維持につながるし、研究では食べ物の消化・吸収が良くなるということが分かってきたので、食べ残しの削減も期待できる」と言う。

 海外では、ベトナムで「学校給食プロジェクト」を展開中だ。経済成長を続けるベトナムでは、農村部を中心に栄養不足に悩まされる子供がいる一方、都市部では栄養の取り過ぎで肥満になる子供が増えている。

 給食を調理する人や教師、親たちに栄養に関する知識が不足している上、給食に必要なカロリーや栄養素などを定めたガイドラインがないことから、栄養バランスの取れた給食を提供するのが難しい。

 そこで、同社の現地法人は2012年から、国や地方の行政と共同で栄養バランスの良い学校給食の普及に向けて活動を開始した。献立のメニューブックや食育教材の開発・配布、衛生管理レベルを高めるモデルキッチンの設置、献立ソフトの開発に取り組んだ。

 その結果、2016年度末までに1022校の小学校が献立ソフトを導入した。現在、現地法人の営業担当者などが小学校を訪問し、献立ソフトの活用方法や味の素グループ製品の導入について説明している。

■「 食」を通じてSDGsへの貢献を目指す
味の素は、家族や友人などが集まって共に食べる場を増やすことで「心」と「体」の健康を支える(左)。ベトナムで展開する「学校給食プロジェクト」(右)。給食を通じて子供たちに食物に関する知識を与える

 このプロジェクトは、2016年度に新設した社内表彰制度「ASVアワード」で最初に大賞に選ばれている。この制度は、革新性や独創性のある事業を通じて社会価値と経済価値を創出した取り組みを表彰するもの。社員一人ひとりがASVの考え方を理解し、日常業務で実践する風土を醸成するために始めたものだ。

 これとは別に、2015年度から「ASVセッション」と呼ぶ研修を実施している。事業を通じて社会課題を解決することを「自分事」として捉え、味の素グループで働く意義や自分の担当業務の意義を考える。

お金に代わる共通言語

 「当社が取り組んできたASVとSDGsは向いている方向は同じ」(長谷川グループ長)。では、味の素にとってSDGsの良さとは何なのか。それは、投資家や取引先、顧客といったステークホルダーへの説明がSDGsという共通言語ができたことで簡略化できる点だという。

 SDGsが採択されるまでは、味の素がなぜその課題の解決に取り組むのか、背景を一から説明する必要があった。今はSDGsの目標やターゲットの番号を示せば、そうした詳細説明を省ける。

 長谷川グループ長は、「これまで投資家にサステナビリティの取り組みを説明する場合、(取り組む意義や価値を)金額に換算して示す必要があった。お金が共通言語だった。ESG投資が広がってきた今は、SDGsを共通言語としてコミュニケーションできる。お互いに理解のすれ違いも起きにくくなる」と話す。

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