相馬 隆宏(日経エコロジー)

電気自動車(EV)への移行が加速する中、トヨタ自動車がついに販売計画を発表した。世界を席巻したハイブリッド車(HV)で培った技術とノウハウで電動化競争を勝ち抜く。

 トヨタ自動車は2017年暮れ、車の電動化に関して立て続けに発表した。とりわけ注目を集めたのは、パナソニックとの協業だろう。電動化の基幹部品である蓄電池の開発でタッグを組む。記者会見の場でトヨタの豊田章男社長は、電動車の販売計画を初めて明かした。欧米の自動車メーカーが相次いで電気自動車(EV)を発表する中、トヨタはEVの販売計画を明確にしてこなかった。そのため、「EVの開発で後れているのでは」という声も上がっていた。

2030年に半分を電動車に

 2025年頃までに、エンジン車しか選べない車種をゼロにする──。すべての車種について、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの電動グレードを設定する、あるいはHVの「プリウス」や燃料電池車(FCV)の「ミライ」のような電動専用車にするという。

■トヨタ⾃動⾞の電動化計画

 2030年には、電動車の販売台数を年間550万台以上、このうちEVとFCVは合計で同100万台以上にする計画も示した。全体の販売台数に占める比率はそれぞれ50%以上、10%以上になる。この計画を実現するため、研究開発や設備投資に1兆5000億円を投資する。

 EVについては、2020年にまず中国で販売を開始する。その後、日本やインド、米国、欧州に順次展開し、2020年代前半にはグローバルで10車種以上に拡大する。ただし、EVは大きな販売台数を見込めずトヨタ単独では収益面で厳しいため、他社との協業を進める。2017年9月には、マツダやデンソーとEV技術開発の新会社を設立すると発表した。

 2014年12月に乗用車のミライを販売開始したFCVは、2020年代にバスやトラックにも広げて商品ラインアップを拡充する。

 トヨタはかねて、国・地域ごとに最適なクルマを提供するという考えに基づいて、エンジン車からHV、PHV、EV、FCVと全方位で開発・販売する戦略をとってきた。どこでどのクルマを売るかは、どこでどのクルマを売るかは、消費者のニーズだけでなく、環境規制が大きく影響してくる。

 自動車の環境規制は、ZEV(排出ガスゼロ車)規制とCAFE(企業平均燃費)規制の大きく2種類に分類される。ZEV規制は、販売台数の一定比率を走行中にCO2を出さないZEVにすることを義務付ける。CAFE規制は、全販売台数の平均で一定以上の燃費を達成することを求めるものである。

トヨタ自動車は、車の電動化の鍵を握る蓄電池の開発でパナソニックとの協業に乗り出した。記者会見に登壇したトヨタの豊田章男社長(左)とパナソニックの津賀一宏社長