半沢 智(日経エコロジー)

自然資本に着目した経営で、3期連続の増益を達成しそうだ。更なる成長のために、環境貢献製品の拡大と海外展開を狙う。

 積水化学工業は、2014~16年度を対象とした現行の中期経営計画の最終年度を迎えている。

 同社の特徴は、経営の中核に「自然資本」の考えを取り入れているところだ。中期経営計画の前年に発表した環境長期ビジョンで、「自然資本のリターンに貢献し、生物多様性が保全された地球を実現する」という方針を掲げた。今、この経営の結果が出ようとしている。

「環境貢献」でヒット続々

 同社が推進する自然資本経営は、「環境貢献製品の市場拡大」「環境負荷の低減」「自然環境の保全」という3つの要素で成り立っている。この3つを実践することにより、自然資本のリターンに貢献する。それが、長期的な成長にもつながるという考え方だ。

 成長の核に位置付けるのが、3本柱の1つ「環境貢献製品の市場拡大」である。環境貢献製品は、高いレベルの環境貢献効果を有したと認める製品やシステムである。同社の審査員が、社外アドバイザリーの助言を受けて認定する。2016年3月時点で118の製品やシステムを認定しており、売り上げの44.3%を占める。

■ 積水化学工業の自然資本経営
出所:積水化学工業「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」

 同社は、「住宅」「環境・ライフライン」「高機能プラスチック」の3つに事業領域を分けている。それぞれの分野で、環境貢献製品のヒット製品が生まれている。

 住宅分野では、太陽光発電、蓄電池、HEMS搭載の「スマートハイム」が好調である。太陽光発電システム付き住宅は、2015年12月末までに累積16万9922棟を販売。ギネス世界記録に認定された。

取り組み例。環境貢献製品「スマートハイム」を販売(上)、工場排水の生物多様性への影響評価(中)、「土地利用通信簿」を活用した緑地推進活動(下)

 環境・ライフライン分野では、老朽化した下水道を更正する「SPR工法」の工事受注が伸びている。古い管の内側に硬質の塩化ビニル製材料を巻いて下水管をリニューアルする。道路を掘り起こす必要がないため廃棄物を削減できる。

 高機能プラスチック分野では、自動車の合わせガラス用遮音・遮熱中間膜「S-LEC」が、世界シェアの約5割を占める。遮音機能によってガラスを薄型・軽量化することが可能になり、遮熱機能はエアコンの効率を向上させる。

 CSR推進部・環境経営グループの阿部弘グループ長は、「売れている製品を分析すると、環境面で何かしら秀でているものを持っている。環境貢献製品を数多く生み出すことが、収益拡大につながる」と話す。環境貢献商品の販売を拡大し、自然資本への貢献と事業成長を両立させる。これが同社の掲げる自然資本経営の狙いである。