富岡 修(日経エコロジー)

FIT開始前の2005年に木質バイオマス発電事業に参入し、最大規模を誇る。商社の総合力を生かし、規模の追求と、環境や地域貢献との両立を目指す。

 2017年4月、総合商社の住友商事は、自社の6つのマテリアリティ(重要性)を発表した。そのうち2つが「地球環境との共生」と「地域と産業の発展への貢献」である。その実現に向けて重要な事業の1つが木質バイオマス(生物資源)発電事業だ。同社は10年以上前から取り組み、国内で最大規模の発電量を誇る。

 住友商事は「基幹インフラの高度化を通じ、社会に貢献する機能集団」を目指し、再生可能エネルギーを含む電力や水事業など幅広い分野の環境ビジネスに取り組んでいる。再生可能エネルギーでは、海外では大規模な洋上風力発電などの事業を展開している。一方、国内で重点的に力を入れている事業が、バイオマス発電である。

全国3カ所に大規模な発電所

 住友商事グループでそれを担うのが、同社が100%出資して2001年に設立した新電力のサミットエナジー(東京都千代田区)だ。同社の販売電力量は、2012年に再生可能エネルギー電力の固定価格買い取り制度(FIT)が施行されて以降伸び続け、2016年度は19億kWhだった。「小売事業者として安定電源を確保することと、地球環境との共生を両立できるのがバイオマス発電の魅力だ」とサミットエナジーの小澤純史社長は話す。

 同社の発電所は、2018年に稼働予定のものを含めて全国に5カ所あるが、3カ所が木質バイオマス発電所である。2005年1月に運転を開始した糸魚川バイオマス発電所(新潟県糸魚川市)、2017年6月に運転を開始した半田バイオマス発電所(愛知県半田市)、現在建設中で2018年に稼働予定の酒田バイオマス発電所(山形県酒田市)だ。3つの発電所を合計した発電能力は17万5000kWと国内屈指の規模を誇る。

■ 住友商事グループの新電力、サミットエナジーの電力販売量と発電所
[クリックすると拡大した画像が開きます]

 同社の強みは10年以上の運転で培った知見やノウハウを生かし、地域の特徴やニーズに応じて事業展開していることだ。バイオマス発電の難しさは、燃料の安定調達と、水分を多く含んで性状が一定でないことによる発電効率の低さにある。「小売事業者として電源を安定確保するためには燃料の安定調達と、規模追求による発電効率の向上が欠かせない」と小澤社長は話す。