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EMFリポート

2016年12月19日

日立造船 買収で切り開いた世界への道

富岡 修(日経エコロジー)

かつての造船の名門企業がゴミ焼却発電施設事業で世界一に躍り出る。技術供与を受けた欧州企業を買収し、東南アジアやインド市場を攻める。

 造船の名門企業だった日立造船が環境プラントメーカーとして世界の中で再び輝き始めている。

「ゴミ焼却発電事業で世界のトップシェアを獲得できた理由は、2010年に欧州で同じ事業を手がけるスイスのイノバ社を買収したことが大きい」と日立造船の環境事業本部・グローバル事業統括部長の井部隆執行役員は話す。1960年に事業を始めて以来、日立造船が2015年度までに納入したゴミ焼却発電施設の納入件数は843件だ。また海外の調査会社のレポートによれば、2008~15年度の受注t数で見た世界シェアは13.8%で1位を誇る。

■ 欧州企業の買収で世界シェア1位に躍り出る
※2008~15年度における世界全体のごみ焼却施設の受注トン数

環境・プラント事業が牽引

 社名に残る造船事業は、1990年代の韓国や中国企業の攻勢によって事業環境が悪化した。2002年、自社の造船部門と日本鋼管(現・JFEエンジニアリング)で合弁会社を設立し、実質的に切り離した。

 造船不況が続く中、杜仲茶の製造や旅行予約ウェブサイト「旅の窓口」の運営を行うなど主力事業が定まらない時期があった。しかし、今はゴミ焼却発電施設を主力とする環境・プラント事業がけん引する。

 日立造船の2015年度の売上高は3870億円だ。「環境・プラント」「機械」「インフラ」「その他」の4つの事業セグメントがあるが、「環境・プラント」事業の売上高が全体に占める割合は62.4%と大きい。

 環境・プラント事業では、様々なプラントを手掛けているが、二本柱がゴミ焼却発電施設と海水淡水化プラントだ。後者は水不足が叫ばれる中、中東のカタールなどで大規模なプラントを受注するなど、成長が期待されている。ただ、展開地域が中東に限られ、2015年度までの納入件数も92件と少ない。同社の海外事業をけん引するのは、ゴミ焼却発電事業に間違いないだろう。

 同社がゴミ焼却発電事業に参入する際、イノバの前身会社とライセンス契約を結び、技術供与を受けた。1965年、大阪市に第1号機を納入した後、環境意識の高まりも追い風となって納入件数を増やした。国内ではJEFエンジニアリングと1位、2位を争うトップメーカーである。

 一方、海外展開は当初、ライセンス契約の影響で中国や韓国、台湾などに進出地域が限られていた。転機となったのが、2010年のイノバの買収(買収額は非公表)だ。世界トップの座を獲得するとともに、イノバの地盤である欧州市場を抑えられた上、東南アジアやインドなどに版図を拡大できるようになった。

 欧州では、フランスやドイツなどはゴミ焼却発電が普及しているのに対し、英国や東欧諸国などは埋め立てが多く普及が遅れているため、有望な市場といえる。

 イノバは買収後も欧州市場で攻勢をかけている。2011年、英国のロンドン郊外に1日当たりの焼却能力が2300t、発電出力が65MWを誇る巨大なゴミ焼却発電施設を建設した。2014年にはアイルランド初となる焼却能力が1680t(2炉)、発電出力が68.8MWの建設工事を受注。それ以外にもフィンランドやスペインなどで大型案件を完工している。

 買収効果は業績にも表れている。海外事業の売上高は2012年度の717億円から、2015年度は1289億円に増加した。海外事業が占める売上高の比率も2010年度の17%から2015年度は33%とほぼ倍増した。

 同社は、長期的に海外売上高比率を50%まで増やす目標を掲げている。海外市場に注力する理由は、中長期で国内市場の縮小が見込まれているからだ。「当面は老朽化した自治体の施設を新設したり、焼却炉を交換する基幹改良工事などをする。焼却能力で年間3000t程度の需要が見込めるので堅調に推移する。しかし、2025年以降は人口や廃棄物の減少に伴う縮小は避けられない」と、環境事業本部の山本和久執行役員は危機感をあらわにする。

 特に注力している市場が、東南アジアとインドだ。2015年度の世界の地域別の売上高比率は、日本が66.7%と最も多く、次に欧州が17.7%。3番目のアジアは6%にすぎない。「中国や韓国の実績が大半で、東南アジアやインドは含まれていない。これらの国々はゴミ焼却発電施設がほとんどなく伸びしろが大きい」(井部執行役員)。

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