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インタビュー

2017年2月13日

一般社団法人環境金融研究機構 代表理事・藤井 良広氏、慶應義塾大学経済学部 教授・池尾 和人氏「多様化する金融機関のESG 取り組みの意義高まる」

聞き手/田中 太郎(日経エコロジー編集長)

日本の金融機関にESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みは根付くのか。「サステナブルファイナンス大賞」の審査を担当した2人の専門家に聞いた。

藤井 良広(ふじい・よしひろ)
1949年兵庫県生まれ。72年大阪市立大学経済学部卒業、日本経済新聞社入社。ロンドン駐在記者、東京経済部次長、経済部編集委員などを経て、2006年4月上智大学地球環境学研究科教授、15年4月同大学客員教授
写真/鈴木 愛子

――先日、発表された「サステナブルファイナンス大賞」とはどのような賞でしょうか。

藤井 良広氏(以下、敬称略) 一般社団法人環境金融研究機構(RIEF)が、日本の金融市場でESG活動を積極的に実践した金融機関を顕彰するために2015年にスタートさせました。今回で2回目です。第1回は大賞1件と優秀賞3件、特別賞1件の合計5団体を選んだのですが、今回は「地域金融賞」や「国際賞」を新設し合計9件に増やしました。

――どのように受賞機関を選定しているのですか。

藤井 自選他薦を問わずに金融機関から応募していただき、池尾さんを委員長とする10人の審査員が、新規性や他の金融機関への影響度など6項目について採点し、審議します。

――損害保険ジャパン日本興亜の天候インデックス保険が大賞を受賞しました。

藤井 損害保険の天候インデックス保険を活用した、知る人ぞ知る取り組みです。東南アジアの農家の人が台風などの影響で翌年にまくための種を失ってしまったときに、種の購入費用を保険でカバーする商品です。しかし農家の人たちには保険をかける発想がありません。そこで保険学習から着手しています。また保険商品に仕立てるために現地の気象データを整備するなど、地道な活動を続けてきました。

予想以上の広がり

――2010年から取り組んでいるんですよね。

池尾 和人(いけお・かずひと)
1953年京都市生まれ。75年京都大学経済学部卒業、87年京都大学経済学博士。岡山大学経済学部助教授、京都大学経済学部助教授、慶應義塾大学経済学部助教授などを経て、95年4月から現職
写真/鈴木 愛子

池尾 和人氏(以下、敬称略) 最初に着手したタイだけではなく、東南アジアで広域的に展開していることも評価につながりました。

藤井 優秀賞では、まず三菱UFJフィナンシャル・グループが再生可能エネルギー事業に特化したグリーンボンド(資金使途を環境に配慮した事業に限定した社債)とTLAC(Total Loss Absorbing Capacity)を組み合わせた案件が選ばれました。

――TLACとは何ですか。

池尾 総損失吸収能力の略で、損失を吸収する能力の向上のために、「G-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)」に指定された金融機関は、破綻に瀕したときには強制的に自己資本に組み入れられる劣後性の高い債券を発行する必要があります。これをグリーンボンドとして出すのは、ひとひねりしたなという印象ですね。

藤井 格付投資情報センターは、金融機関によるグリーンボンドの発行が増加していく中で、「GA1」から「GA5」までの5段階の格付け方式で横比較する手法をいち早く開発しました。投資家にも分かりやすい点を評価して優秀賞としました。

池尾 数字でグリーン度を示すのは分かりやすいですね。

――新設した「地域金融賞」ではいかがでしょう。

藤井 私募債の発行に合わせて金融機関が手数料の一部を環境保全や地域貢献などに拠出する「CSR私募債」の発行で滋賀銀行を選定しました。CSR私募債を発行している金融機関は他にも増えてきていますが、滋賀銀行の場合は長年積み上げてきた同行独自の環境格付け制度と組み合わせた点が評価されました。環境格付けで一定以上の評価を得ていることをCSR私募債発行の条件にしています。

 もう1つの秋田県信用組合は、「消滅可能性都市」であると指摘された地域にありますが、金融機関として、そうした指摘を跳ね返そうと地域活性化に取り組んでいます。小水力発電やバイオマス発電などに積極的に融資し、地域の資金需要を掘り起こすとともに雇用を創出しています。地域の利点を生かしたファイナンスをしており、地域金融機関ならではの取り組みだと思います。

――そもそも、なぜ新しい賞を設けたのですか。

藤井 第1回は、地方銀行や信用金庫などもメガバンクと同列で評価したのですが、それはムリがあると考えました。そこで今回は地域金融賞を別途設けました。それから、表彰自体は日本の金融市場を対象にしていますが、金融はグローバルにつながっているので国際賞を新設しました。金融機関の取り組みが広がり、それぞれの業態に応じて多様になってきたことに対応したつもりです。

――確かに受賞機関の顔ぶれも、それぞれの取り組みも多彩ですね。

池尾 応募してきていただいた案件を審査して感じたのは、予想していた以上に多様な取り組みがなされていることです。この表彰制度を通じて、世の中全体、特に金融機関の人たちにESGの取り組みの意義を認識してもらいたいですね。

■ 2016年「サステナブルファイナンス大賞」の受賞企業
[クリックすると拡大した画像が開きます]
■ サステナブルファイナンス大賞とは
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