• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

インタビュー

2017年7月10日

国際連合大学上級副学長、国際連合事務次長補・沖 大幹氏「SDGsは良い“ツール” 使わない手はない」

聞き手/田中 太郎(日経エコロジー編集長)

企業にとってSDGs(持続可能な開発目標)に取り組む意義はどのようなものか。2016年10月に国際連合大学上級副学長に就任した沖大幹氏に聞いた。

沖 大幹(おき・たいかん)
1964年生まれ。89年東京大学大学院工学系研究科修了、東京大学助手、講師などを経て2006年から生産技術研究所教授。2016年10月に国際連合大学上級副学長、国際連合事務次長補に就任。東京大学総長特別参与、生産技術研究所教授を兼務する。専門は水文学で、地球規模の水循環と世界の水資源に関する研究。著書に『水の未来』『水危機 ほんとうの話』『東大教授』ほか
写真/鈴木 愛子

――4月に国連大学サステイナビリティ高等研究所が主催した「SDGダイアログ:グローバル企業と2030アジェンダ」では企業にとってのSDGsがテーマでしたね。

沖 大幹氏(以下、敬称略) 政府は2016年12月に実施指針や具体的施策をまとめています。大学は研究の良い機会だと捉えるでしょうし、市民にとっても文句のつけようがない目標なのでやるでしょう。しかし、企業にとっては「これをやることが本当に自社の利益になるのか」という不安がありますよね。そうした不安を払拭して、「積極的に取り組んだ者勝ち」という雰囲気ができるといいなと考えています。

チェックリストとしても使える

――企業がSDGsに取り組む重要性はどこにありますか。

 SDGsは先進国も対象にしていますが、多くはこれから伸びる余地がある途上国の経済を伸ばそうという目標です。そこには大きな需要が生まれるでしょう。最後の市場に自社の事業をどう結び付けていくかを考えましょうということですね。一方、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資で株式を長期保有しようと考えている投資家からは、2030年、2050年に自分の会社があると思って事業をしているのか厳しく見られるでしょう。

 SDGsは慈善事業や寄付行為ではなく、それこそ本業のビジネスです。植林をしたり、学校を建てたり、井戸を掘ったりといった慈善事業であれば、自社の資源を割けば実行できます。SDGsは、例えばある地域の衛生環境を良くすることによって自社も儲かり、それが事業として持続的に回っていき、企業としての評価も高まると一番良いわけです。これは普段のビジネスと一緒ですよね。うまくいく場合もあれば、うまくいかないこともあります。そういう難しさがあることは認識すべきではないでしょうか。

――日経エコロジーの2017年1月号の特集ではSDGsの「共通言語」としての機能に焦点を当てました。サステナブルな経営をしている企業であることを社外に説明するための共通言語としてSDGsを使い、ESG投資を呼び込む。あるいは自社の目標を社内で共有するための共通言語として使い、事業のアイデアを掘り起こすといった使い方です。

 ビジョンのシェアという意味ではそれでいいと思います。「こういう方向でやるぞ」と言うのはいいですし、うまくいってから「こんなふうにきちんとやっています」と言うのもいいです。ただ、実際に何をするかという事業化のところでは、本業なのでうまくいくまで企業は伏せるのではないでしょうか。というよりも、むしろそうなってほしいと考えています。

――今はまだその段階ではないですか。

 まだなっていないと思います。やはりCSR的に損得には多少目をつぶってもまず取り組むことが大事だという段階ではないかと思います。

 共通言語という意味では、ある事業に着手しようとするときに、それが企業価値を毀損させないかを確認するチェックリストとしても使えるのではないでしょうか。環境や人権や健康の問題に悪さをしないかチェックしていくのです。あるいはESG投資との関係でいえば、非財務情報として何を開示すればよいのかを判断するときに、SDGsの169のターゲットに照らして「ここはきちんと取り組んでいる」「ここは社会に貢献している」というように情報を選ぶこともできるでしょう。

 SDGsに取り組むというよりも、SDGsを参考にしながら自社の事業を積極的に展開し、結果が出たときにはSDGsのどこに対応しているのかをアピールするというのが正しい使い方ではないでしょうか。

――ツールとして使うということですね。

 官僚的な言葉遣いで、回りくどい表現もありますが、数年の年月をかけて、世界の何千人ものチェックを通ってきた文書です。そこには参考にすべき点がたくさんあります。使わない手はないでしょう。

■ SDGs(持続可能な開発目標)までの国連の動き
出所:沖大幹氏の資料を基に編集部作成
1 2 |

政府の実施指針は参考になる >>

環境ブランド調査 2017 環境に関する企業ブランドランキング

Nikkei BP Eco-brand Survey 2016

環境・CSR報告書大全 2017 DVD-ROM サポートWEB

会員専用オンラインセミナー ログイン

環境経営フォーラム2017活動のご案内

Nikkei BP Eco Management Forum. An invitation to take action 2017

トップが語る 環境経営 時代の証言 2010-2013

日経エコロジー ― 環境対応と社会課題解決で経営を革新する ―

環境と共に成長する 日経エコロジー

別冊・書籍のご案内

書籍
「森で経済を作る―グリーンエコノミー時代を拓く」