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インタビュー

イー・アール・エム日本社長・坂野 且典氏「ESGサービスは今後拡大 本物のコンサルタント育てたい」

聞き手/田中 太郎(日経エコロジー編集長)

世界160カ所にネットワークを持つ英ERMの日本法人社長に2017年4月に就任した。サステナビリティ分野での「本物のコンサルタント」の育成が目標だ。

坂野 且典(ばんの・かつのり)
1964年滋賀県生まれ。89年京都大学工学部原子核工学修了後、鹿島建設入社。放射性廃棄物処分に関わるR&Dに従事した後、マサチューセッツ工科大学(土木環境工学)留学を経て、土壌汚染の浄化対策や不動産の環境デューデリジェンスを担当。2008年にERM日本へ移り、M&Aの環境アドバイザリーを中心に工場跡地の再生、グリーンビルの評価、ESGポリシーの策定などのサービスを日本企業向けに提供している。2017年3月から現職
写真/佐藤 久

――私にとっては、坂野さんは米国で学んできた土壌汚染調査の専門家という印象が強いです。

坂野 且典氏(以下、敬称略) 最初にお会いしたのは10年以上前でしたね。当時は不動産開発に関連した土壌汚染の問題を扱っていました。土壌汚染が社会問題とまでは言いませんが、再開発の障害になっていたり、大きなコストがかかる経済的な問題として認識されるようになった時期だと思います。浄化技術さえあれば汚染を浄化できるわけではなく、周辺住民や行政といったステークホルダーの了解を得ながら作業を進めなければならない点が、土壌汚染問題を難しくしていました。そういう問題解決の仕事をしたかったというのが正直な気持ちです。

 まず建設業界で土壌汚染現場での浄化作業や行政対応を担当し、次に不動産業界で土壌汚染調査をやりました。そして、2008年に自分のコンサルティングの幅を広げるため、世界に160以上の事務所がある環境コンサルティング会社の英ERMに転職し、M&A(合併・買収)に際するデューデリジェンス(資産査定)を中心に9年間やってきました。

――世界160カ所は大きなネットワークですね。

坂野 グローバルで環境分野のコンサルティングだけをやっている企業は他にはなく、非常にユニークな存在だと思います。M&Aでのデューデリジェンスだけでなく、安全衛生管理や環境影響評価、リスクマネジメントも含め、企業のサステナビリティに関連する様々な支援をしています。

クライアントに判断材料を提供

――具体的にはどのような仕事をするのですか。

坂野 M&Aのデューデリジェンスは、環境関係に限らず、数カ月という非常に短い期間で企業の価値やリスクを見極める作業になります。依頼があるとチームを作って、まず現地の法規制をはじめとする関連の公開情報をかき集めます。そして可能であれば現地調査を行ったり、電話での聞き取り調査をして、最終的には報告書をまとめます。限られた情報の中で、例えば土壌汚染のリスクがどれくらいあり、金額に換算するとどれくらいになるのかといった点を評価します。ピンポイントでいくらと提示するのは難しいですが、「通常はこれくらいのコストがかかり、最大ここまでかかる可能性があります」というように、クライアントに対し判断の材料を提供します。専門的な知識や経験がないと報告書は怖くて書けないですね。あるいは、情報を提供するだけでなく、場合によってはクライアントと買収先との価格交渉の場に加わることもあります。

――法規制の場合、法律の文面よりも実際にどのように運用されているのかが重要ですよね。海外でそういう情報はどのように入手するのですか。

坂野 先ほど世界に160カ所の事務所があると説明しましたが、日本のクライアントが海外で投資をする際にその地域の評価をするのは、現地の事務所の担当者です。ですから、法規制がどのように運用されているのかの情報は普段の作業の中で集めています。例えばアスベストを含んだ建材が現地の工場で使われていた場合に、法規制上どこまで撤去すればよいのか、撤去するとしたらどれくらいのコストがかかるのかといった質問を電子メールで投げかけると、だいたい24時間以内に早ければものの数分で答えが返ってきます。

――では海外の企業が日本での投資を検討する際には、日本法人がそういった情報を提供するのですか。

坂野 そうです。

――坂野さんのそもそもの専門である土壌・地下水汚染ではどのような仕事をしているのですか。

坂野 例えば外資系企業が日本の工場を閉鎖する際に汚染浄化を支援したケースでは、薬剤を注入したり、熱をかけて汚染の回収を促進したりする原位置浄化でかなり大規模な工事を実施したことがあります。日本と海外では浄化に対する考え方が根本的に違います。日本では汚染があれば環境基準以下にすることが求められがちですが、海外では有害性だけでなく人がどれくらい暴露するのかも考慮したリスクベースの考え方が浸透しています。グローバルに展開している企業は各国で浄化対策の経験があり、いろいろなケースを知っているので、日本でよく行われているような汚染土壌を掘削して処分場に運び込む、いわゆる掘削除去ではなく、原位置浄化を選ぶことが多いです。そのため、海外の浄化技術を使いながら、日本の土壌汚染対策法に照らして行政が納得するような結果を得るために、緻密に計画して作業を進めなければなりません。

――企業のサステナビリティ全般を対象としているということですが、最近ではESG(環境・社会・ガバナンス)投資や国連のSDGs(持続可能な開発目標)に関連するビジネスに企業の関心が高まっています。コンサルティングの依頼は増えていますか。

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