聞き手/藤田 香

日本のガバナンスは急速に改善しているが、社外取締役の質に課題がある。統合報告書も、取締役会が承認して戦略を投資家に示すものであるべきだ。

――ICGNは、コーポレートガバナンスの基準策定などを行う機関投資家の国際的ネットワークです。どんな投資家が参加していますか。

ケリー・ワリング
国際コーポレートガバナンス・ネットワーク(ICGN)事務局長
ICGNは企業にガバナンスに関する助言を行う機関投資家のネットワークで、44カ国の投資家が参加し、運用資産総額は26兆ドル以上。ワリング氏はICGNの前には、英国勅許会計士協会や英国経営者協会の国際マネージャーなどを務めた
写真/中島正之

ケリー・ワリング氏(以下、敬称略) 世界44カ国から機関投資家が参加しており、運用資産総額は26兆ドル(2700兆円)以上です。米カルパースやカルスターズ、ノルウェー政府年金基金(NBIM)、英アビバ、仏アムンディの他、日本からもニッセイアセットマネジメントなどが参加しています。世界最大級の投資家の集まりと言えます。

――日本ではESGの中でもガバナンスが課題だと言われてきました。世界の投資家は日本のガバナンスをどう評価していますか。

ワリング 私たちは日本で短期間に大きなガバナンス改革が行われてきたことを知っており、歓迎しています。2018年2~3月にICGNが統合報告書の枠組みを作ったIIRC(国際統合報告評議会)と共同で国際会議を東京で開催したのも、この動きをお祝いし、さらに推進するためです。

 日本のガバナンスは向上し、社外取締役の数も増えてきました。しかし、まだ課題はあります。私は2017年秋、金融庁の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」で講演し、2018年に予定されている日本のガバナンス・コード改正に意見を言いました。取締役会に社外取締役を3分の1以上、あるいは3人は入れるべきであり、改正コードに明記してほしいと考えています。

 日本企業では執行役が取締役を兼ねることが多いですが、両者は分離されるべきです。それが難しいなら社外取締役の質をより高めることです。1人をリーダー的存在にし、株主との対話に当たってもらいます。

 社外取締役は数より質が重要です。資本効率や資本配分という財務的リテラシーの教育を受けられるよう支援が必要です。社外取締役は執行役に難しい質問をぶつけることが仕事です。建設的な議論をしてほしいと思っています。