聞き手/酒井 綱一郎(日経BP社取締役副社長)

社内の取り組みをESGやSDGsに関連付けて開示している伊藤園。2018年は“ESG実装元年”で、非財務情報の統合化が大切になると指摘する。

――まずはESG/SDGsの潮流についてお伺いしたいと思います。

笹谷秀光(ささや・ひでみつ)
伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長
東京大学法学部卒。1977年農林省入省。2005年環境省大臣官房審議官、2006年農林水産省大臣官房審議官、2007年関東森林管理局長を経て、2008年退官。同年伊藤園入社、2010〜2014年取締役、2014年7月より現職。日本経営倫理学会理事、グローバルビジネス学会理事、サステナビリティ日本フォーラム理事、通訳案内士資格保有(仏語・英語)。著書に「協創力が稼ぐ時代」(2015年)など
写真/木村 輝

笹谷 秀光氏(以下、敬称略) 2015年は、E(環境)でパリ協定、EとS(社会)でSDGsの採択があり、G(ガバナンス)でコーポレートガバナンス・コードが導入され、まさに節目の年でした。私は「ESG元年」だと言っています。

 2017年末にはSDGsの優れた取り組みを表彰する第1回「ジャパンSDGsアワード」が政府から発表されたこともあり、2018年は企業がSDGsを競争戦略に活用する「ESG実装元年」になると考えています。

――SDGsと関係の深いESGですが、なぜいまESG/SDGsへの関心が加速しているのでしょうか。

笹谷 2006年に国連で責任投資原則(PRI)が提唱されて以降、ESG投資額が増えました。日本では2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名し、ESG投資の推進を明確化したことが加速要因となっています。

 ただ現場では、社会的責任の手引きであるISO26000やCSV(共有価値の創造)、さらにESG、SDGsなど次々と新しい概念が登場し、どのように体系化すればいいのか混乱が見られます。すでに浸透しているISO26000をベースに体系化し、“自分事化”して経営に組み込んでいくことが合理的でしょう。

 日本企業にはもともと “売り手良し・買い手良し・世間良し”の「三方良し」という考えがありました。ESGやSDGsにも、こうした考え方を適用すればいいのではないでしょうか。ただ一点、日本人は発信の面が弱いので、「発信型(開示型)三方良し」こそが日本人の拠り所とすべき概念だと考えています。

 加えて、私はこれらの新しい横文字を使いこなし、「非財務情報の統合化」を図るべきと考えます。「発信型(開示型)三方良し」「非財務情報」の考え方を一つの体系に整え、社内の浸透を図っていくことが、いま問われていることだと思います。