相馬 隆宏

社会の関心が高まっている食品ロス削減に商機を見いだす企業が増えている。AIやIoTといった先端技術から微生物の活用まで、廃棄物削減へ各社が知恵を絞る。

 NTTドコモは2018年1月から3月にかけて、東京都内のスーパー「miniピアゴ入船1丁目店」(中央区)で食品ロス削減の実証実験を実施した。賞味期限・消費期限が近くなった商品を購入した顧客に、買い物に使えるポイントなどを付与して食品ロスを削減する試みである。

食品ロス削減の実証実験を実施した「miniピアゴ入船1丁目店」。ポイント還元の対象になっている商品の棚には目印となる札を付けた
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人件費削減の効果も

 仕組みはこうだ。店舗が毎日、期限切れになる恐れがある商品を選定し、顧客に知らせる。対象の商品を購入した顧客は、スマートフォン(スマホ)のアプリ「EcoBuy(エコバイ)」を利用して、レシートと商品のパッケージに印字されている賞味期限・消費期限を撮影した写真をアップロードし、ポイントを申請する。対象の商品を購入したことが認められるとNTTドコモの「dポイント」や楽天グループの電子マネーがもらえる。

 ポイント還元率は20%だ。例えば、100円の商品なら20円相当のポイントがもらえる。ポイントの原資は店舗が負担するが、期限切れ間際の商品は通常20〜50%値引きして売るため、今回の取り組みによって負担が重くなるわけではない。

 同店では、期限当日の夕方に20%値引きし、それでも売れない場合は閉店前に50%値引きする商品もある。ポイントを利用して50%値引きせずに売れれば、むしろ利益を多く確保できる。食品ロスによって年間で300万円程度の損失があるので、これを減らす意義は大きい。

 商品が売れ残ると、店員が商品のバーコートを1点1点スキャンして損失を記録する作業が発生する。miniピアゴを運営する99イチバ(横浜市)運営部の清水雅人エリアマネージャーは、「食品ロスが減れば廃棄に関わる作業も減るので、労働環境の改善や人件費の削減につながる」と期待する。

 約2カ月間の実証実験の結果、期限切れ間近の商品を購入した顧客からのポイント申請が累計約240回、約350個あった。期待した以上の成果が出ており、アプリの利用者や対象商品が増えれば、ロスを半減させることもできそうだという。

NTTドコモが開発した食品ロス削減アプリ「EcoBuy」の画面。自宅に置いている間に期限が切れてしまうケースが少なくないため、購入した商品を消費したかどうかまで追跡する。消費していない場合はその食品を使った料理のレシピを提示してロスを防ぐ

 NTTドコモは今後、このアプリを商用化する方針だ。同社法人ビジネス本部第二法人営業部第五営業担当部長の遠藤正道氏は、「(ポイントサービスの)加盟店から手数料が入るので、新しい利用方法を作ってdポイントの流通量を増やせば、当社の収益が上がる」と言う。