半澤 智

ガバナンスの専門組織を発足させ、子会社を監視・監督する。ただし、管理と監視に偏ったガバナンスには危険も潜む。

 三菱マテリアルは2018年3月28日、子会社で発覚した品質データ改ざん問題の最終報告書を発表した。

 品質データを改ざんしていたのは、同社の連結子会社である三菱電線工業、三菱伸銅、三菱アルミニウム、立花金属工業、ダイヤメットで、不適合品を出荷した取引先は762社を超えた。自動車部品などを製造するダイヤメットでは、1977年ごろから約40年間にわたり品質データを改ざんしていたことが判明。当時の社長が不正を示す資料の隠蔽を指示していたことも明らかになった。

 報告書では、不正が行われた要因について、品質に対する意識の希薄さや縦割り組織の企業風土にあり、リスク情報が適切に把握・報告されていなかったことに問題があるとした。竹内章社長は記者会見で、「グループ全体でガバナンス体制を強化していく」と強調し、グループガバナンスの強化策を説明した。

ガバナンス強化策を発表する三菱マテリアルの竹内章社長(中央)
写真:毎日新聞社/アフロ

2つのルートで管理

 強化策は、4月1日から実施している。ガバナンスの取り組み方針や年間計画を管理・推進する「ガバナンス審議会」を新設し、グループ全体のガバナンスをチェックする。さらに、CSR部、安全・環境部、品質管理部、経営監査部をメンバーとする「ガバナンス統括本部」を発足させ、事業部門や子会社に対するガバナンスの管理・監視を担う。

 グループ内の経営幹部に対する教育の拡充や、部門間、親子会社間、子会社内の人材交流も図る。他組織の目が入る風通しの良い組織にすることで、不正に対する危機意識を醸成するとともに、不正リスクを事前に把握しやすくする。

 監査役を中心とした子会社の管理ルートも確保する。三菱マテリアル監査役の業務を支援する監査役室の室員が、常勤監査役を置く主要な子会社の非常勤監査役を兼務する。非常勤監査役のみの子会社には、活動状況の報告書を毎月提出させて状況を把握する。さらに、親会社の常勤監査役を窓口とする相談窓口を新設し、グループ全体の内部通報システムを機能させる。