全国的に深刻化する宅配便の再配達問題。京都市は大学、企業と連携し、まちぐるみでこの課題に取り組み始めた。京都市の門川大作市長に、プロジェクトの狙いと目指す未来を聞いた。

「歩くまち・京都」の戦略と連動した物流の整序化

ネット通販の拡大や単身世帯の増加などにより、宅配便の再配達が全国で問題となっている。宅配業界の慢性的な人手不足とムダなCO2排出による環境への悪影響も事態を深刻化させる。国も盛んに再配達削減を呼びかけるが、効果的な対策は未だに見つからない。

課題解決に向け、積極的に動いている自治体もある。その一例が京都市だ。2010年1月、京都市では「『歩くまち・京都』総合交通戦略」を策定。歩くことを中心としたまちづくりと暮らしにフォーカスし、持続可能な“脱・クルマ中心社会”のモデル都市を目指している。これまでに市内目抜き通りである四条通の歩道拡幅、京都の玄関口である京都駅の八条口駅前広場の整備などを手がけ、「歩いて楽しいまち」「安心・安全で快適な歩行空間」の創出に取り組んできた。

戦略を推進するにあたり、再配達による環境負荷軽減や物流車両の整序化は避けて通れない。京都市の門川大作市長は、古都・京都ならではの交通・物流における課題についてこう話す。

京都市の門川 大作 市長

「京都市は古くからの狭い通りや路地が多く、宅配事業者の車が路上駐停車していると歩行空間がかなり狭くなってしまいます。しかし、一般家庭向けの宅配はもちろんのこと、商店や飲食店などビジネスに活用される商業物流は人びとの暮らしを豊かにする上で必要不可欠なものです。だから、なくすことはできない。つまり、ムダを減らしながら、効率的に宅配を行うにはどうすべきかを考えていく必要があるのです」

この課題に対し、市ではさまざまな対策を講じてきた。2008年からは地域住民、宅配事業者、学識経験者などとともに「物流ワーキンググループ」を立ち上げ、共同配送や共同荷さばき場の設置などの社会実験を実施。宅配事業者も、車両の小型化や削減に取り組んでいる。

2017年3月に改定した「京都市地球温暖化対策計画」では、普段の生活においても、市民一人ひとりが高い意識を持って、環境にやさしいライフスタイルへと転換していくことが大切であるため、「宅配便の一回受取の促進による再配達の削減」を新たに明記。そして2017年11月には京都市、パナソニック、京都産業大学、宅配事業者(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)が連携し、宅配ボックスの実証実験「京(みやこ)の再配達を減らそうプロジェクト」が始まった。

2017年10月にプロジェクト開
始に先駆けて行われた京都市と
パナソニックの会談

具体的には、パナソニック製の宅配ボックス39台を京都市内のアパート(全5カ所)に、公共用宅配ボックスを京都産業大学内にそれぞれを設置。アパートでは全106世帯の学生・単身者、大学では約50人の学生・職員などにモニターとして協力してもらい、どのような効果があるのかを定量的に計測する。期間は2017年11月8日から2018年1月末日までを予定している。