超高齢化社会が進む現代の日本。内閣府が発表した「平成28年版高齢社会白書」では、65歳以上の高齢者の総人口に占める割合(高齢化率)は26.7%(2015年10月1日現在)となっており、世界保健機構(WHO)が「超高齢社会」として定めている21%をはるかに超えている。このような状況の中、人材不足が叫ばれている介護業界では、健康で安心して暮らせるようなサービスを提供しようとしている。今回は、藤沢市の高齢者向け住宅での、みまもりサービス導入事例を取材した。

新たに作られた街で地域包括ケアに取り組む

学研ココファン
ココファン藤沢SST所長
野口 雅史氏

2016年9月に開設された「ココファン藤沢SST」は、学研ココファンが運営する全70戸のサービス付き高齢者向け住宅だ。ここには、サービス付き高齢者向け住宅だけでなく、クリニック、薬局、訪問看護、デイサービスなどの介護事業所が併設されている。また、保育園、学童保育、学習塾も併設されており、多世代交流を行っていることも大きな特徴となっている。「多世代交流を行っている施設は多いですが、多くの場合は月一回のイベントのような形で行われていると思います。ココファン藤沢SSTでは、日々の生活の中で、自然な関わりが持てるようにしています」と株式会社学研ココファン ココファン藤沢SST所長の野口 雅史氏は説明する。

ココファン藤沢SST

高齢者と子供が関わりを持つことで、高齢者には認知症の予防となり、子供は成長の過程で我慢強さを覚えるなど、双方によい影響が生まれていく。「たとえば、3歳や4歳の園児が事務所のドアをしっかりとノックして、失礼しますと言って入ってきます。特に教えたわけではなく、多世代の人たちが見ているというのを意識しているのではないでしょうか。また、アルツハイマー型認知症の方が園児の名前を覚えるなど、効果は少なからずあると考えています」と野口氏は話す。

最新のICTを使った見守りシステムも導入

ココファン藤沢SSTの大きな特徴となっているのは、開設時からサービス付き高齢者向け住宅の全70戸にパナソニックが提供する「エアコンみまもりサービス」を導入していることだ。このサービスは、パナソニック製のスマート対応エアコンの温湿度センサーの情報を一括管理し、職員事務所から適切な温湿度になるように管理できるものである。また、ルームセンサー(電波センサー)も組み合わせて、人の動きを検知するほか、睡眠状態を把握することも可能だ。これを利用することにより、従来は巡回によって1部屋ごとにエアコンの状況を確認していたスタッフの負担を軽減することができ、人の目だけでは気づきにくい健康状態や体調の変化を察知することができるようになるという。

「制度が始まって6年が経ち、全国では約20万戸のサービス付き高齢者向け住宅が整備されています。その中で、入居される方の選択肢を増やすためにも、導入する意味があると考えました。これまで、低すぎる温度設定や熱中症などを防ぐため、スタッフが巡回や見守りを行っていましたが、今は空いた時間を研修や入居者様とのコミュニケーションに使い、サービスの質向上を進めています」と野口氏は話す。

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「エアコンみまもりサービス」の構成